急にお金が必要となったとき、一時的にお金を準備する方法としてカードローンは有効な選択肢になる。カードローンは消費者金融や銀行、信販会社(クレジットカード会社)などの金融機関が取り扱っており、そのひとつがネット銀行だ。ネット銀行のカードローンのメリットや、利用する際の注意点について知っておこう。

目次
1.カードローンとは
2.ネット銀行のカードローンのメリット
3.主なネット銀行7社のカードローンを比較
4.カードローンを利用する際の3つの注意点
5.ほかの選択肢も検討する

1.カードローンとは利用限度額の範囲内で金額を借りられるローンのこと

カードローンとは、あらかじめ借り入れできる金額の枠である「利用限度額(極度額)」の契約を行い、その範囲内で必要なタイミングに必要な金額を繰り返し借りられるローンのことだ。一度契約すれば借り入れごとに契約をする必要がなく、ATMなどを使ってすぐに借り入れができる。事業資金以外の目的であれば資金の使い道に制限もない。

2.ネット銀行のカードローンのメリットは2つ——金利や利便性に強み

ネット銀行のカードローンは金利の低さや、来店不要で手続きできる利便性に強みがある。

メリット1 ……ネット銀行のカードローンは金利が比較的低い

カードローンの金利(貸付利率)は利息制限法と出資法、貸金業法によって以下のように上限が定められている。
 

貸付額 利息制限法上限金利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%
※筆者作成

ネット銀行を含む銀行系カードローンは、消費者金融系や信販会社(クレジットカード会社)系カードローンに比べ、金利の上限が低い傾向がある。いくつか例をみていこう。

【銀行系カードローン借入金利(実質年率)】
〈メガバンク〉
・みずほ銀行(カードローン)……2.0%~14.0%(住宅ローン利用者の場合▲0.5%)
・三菱UFJ銀行(バンクイック)……1.8%~14.6%
・三井住友銀行(カードローン)……4.0%~14.5%
〈ネット銀行〉
・住信SBIネット銀行カードローン……8.99%~14.79%(スタンダードコース)・1.59%~7.99%(プレミアムコース)
・楽天銀行(スーパーローン)……1.9%~14.5%
・イオン銀行(カードローン)……3.8%~13.8%
・オリックス銀行(カードローン)……1.7%~17.8%
・ジャパンネット銀行(ネットキャッシング)……1.59%~18.0%

【消費者金融系カードローン借入金利(実質年率)】
・アイフル(キャッシングローン)……3.0%~18.0%
・アコム(カードローン) ……7.7%~18.0%
・プロミス(フリーキャッシング)……4.5%~17.8%
・SMBCモビット(モビットカードローン)……3.0%~18.0%
・レイクALSA(カードローン)……4.5%~18.0%

【信販系カードローン借入金利(実質年率)】
・三井住友カード(ゴールドローンカードレス)……3.5%~14.4%
・三菱UFJニコス(カードローン・ゴールド)……14.95%~17.95%

カードローンで適用される金利は、一般的に借入可能額の上限である「利用限度額(極度額)」と、利用者の「信用力(返済能力)」に応じて変わる。これらは同じ金融機関のカードローンでも幅がある。利用限度額、信用力が低いほど、適用される金利は高くなる。

初めてカードローンを利用する場合にはこれまでの返済実績がないため、提示されている最も高い金利が適用されることを想定しておくのが無難だ。

メリット2 ……ネット銀行なら借り入れから返済まで来店不要で手続きできる

店舗を持たないネット銀行では、契約・借り入れから返済まで来店不要でカードローンの手続きが完結する。銀行によっては郵送によるやりとりも一切不要だ。カードローンの借り入れや返済はネットやコンビニATMを使って24時間行え、ほとんどの銀行で手数料は無料だ。

3.主なネット銀行7社のカードローンを比較

ネット銀行の中でも、銀行によってカードローンの商品内容には違いがある。どのカードローンを利用するかはよく比較して選びたい。ネット銀行7社のカードローンの特徴を紹介していこう。
 

名称 金利(実質年率) 利用限度額
住信SBIネット銀行
(カードローン)
プレミアムコース
1.59%~7.99%
スタンダードコース
8.99%~14.79%
※条件を満たせば上記から
最大0.6%金利引き下げ
プレミアムコース
最高1,200万円
スタンダードコース
最高300万円
イオン銀行
(カードローン)
3.8%~13.8% 最高800万円
ソニー銀行
(カードローン)
2.5%~13.8% 最高800万円
楽天銀行
(スーパーローン)
1.9%~14.5% 最高800万円
auじぶん銀行
(じぶんローン)
2.2%~17.5%(通常)
※au限定割
誰でもコース:▲0.1%
借り換えコース:▲0.5%
最高800万円
オリックス銀行
(カードローン)
1.7%~17.8% 最高800万円
ジャパンネット銀行
(ネットキャッシング)
1.59%~18.0% 最高1,000万円
※各行HPより筆者作成(2020年5月現在)

住信SBIネット銀行カードローン……条件を満たせば最大年0.6%の金利引き下げも可能

住信SBIネット銀行のカードローンは、審査結果に応じて「プレミアムコース」と「スタンダードコース」に分けられる。

プレミアムコースの上限金利は7.99%であり、カードローンの金利としてはかなり低い。一定以上の収入があるなど、プレミアムコースの審査をクリアできる人には有利なカードローンといえるだろう。スタンダードコースはプレミアムコースに比べて金利は高いものの、カードローンの中では低い水準だ。いずれのコースも、次の条件を満たすことにより金利がさらに引き下げられる。

(1)ミライノカード(JCB)を保有し、住信SBIネット銀行を引落口座に設定:▲年0.1%
(2)SBI証券口座保有または住信SBIネット銀行取扱住宅ローン残高あり:▲年0.5%
(1)(2)の両方に該当する場合、年0.6%の金利引き下げ

プレミアムコースでは利用限度額が最高1,200万円と高いのも特徴だ。ただし、利用限度額1,200万円で契約するには年収2,400万円以上といった条件を満たさなければならず、実際にはより低い限度額が設定される人がほとんどだろう。それでも金利面の優位性は十分にある。

申し込みには、満20歳以上65歳未満で本人に安定継続した収入があり、住信SBIネット銀行に口座があるなどの条件を満たす必要がある。口座がなければ同時申し込みが可能だ。

手続きはネットで完結し、カードローンに関連した書類などが自宅に届くことはない(口座開設を同時に行った場合は、キャッシュカードなどが自宅に送付される)。銀行のキャッシュカードがローンカードを兼ねており、キャッシュカードを使ってコンビニATMなどで借り入れや返済ができる。

イオン銀行カードローン……イオン銀行の口座がなくても申し込める

イオン銀行のカードローンは、銀行系カードローンの中でも上限金利が13.8%と低いのが特徴だ。

申し込みには、満20歳以上65歳未満で本人に安定継続した収入があるなどの条件を満たす必要がある。申し込みやカードローンの利用にイオン銀行の口座は不要だ。手続きはネットで行えるが、ローンカードは自宅で受け取る必要がある。 

ソニー銀行カードローン……上限金利が13.8%と低め

ソニー銀行のカードローンは、銀行系カードローンの中でも上限金利が13.8%と低いのが特徴だ。

カードローンの申し込みには、満20歳以上65歳未満で安定した収入があり、ソニー銀行に口座があるなどの条件を満たす必要がある。ソニー銀行の口座がなければカードローンと同時申し込みが可能だ。手続きは基本的にネットで行えるが、簡易書留または本人限定受取郵便で送付されるローンカードは、自宅もしくは郵便局で本人確認書類を提示しての受け取りとなる。 

楽天銀行スーパーローン……学生や専業主婦でも申し込み可能

楽天銀行のカードローンは上限金利が14.5%と比較的低く、限度額800万円の場合には年1.9%まで金利が下がる可能性がある。

カードローンの申し込みには、満20歳以上62歳以下で本人に安定した収入があるなどの条件を満たす必要がある。学生や本人に収入のない専業主婦でも申し込めるのが特徴だが、専業主婦の場合、60歳以下、限度額50万円以下という制限がある。楽天銀行に口座がなくてもカードローンのみで利用できる。カードローンの手続きは楽天銀行アプリなどを使い基本的にはネットで行えるが、ローンカードの受け取りや口座振替依頼書の返送など一部郵送での手続きが必要になる。

auじぶん銀行・じぶんローン……auユーザーであれば誰でも年0.1%の金利引き下げ

auじぶん銀行のじぶんローンは、auユーザーに対する金利優遇が特徴だ。auユーザーであれば誰でも年0.1%、他社から100万円以上の借り換えを行う場合には年0.5%金利が引き下げられる。

カードローンの申し込みには、満20歳以上70歳未満で安定継続した収入があるなどの条件を満たす必要があるが、auじぶん銀行の口座はなくてもよい。手続きは基本的にネットで行えるが、ローンカードは自宅で受け取る必要がある。auじぶん銀行の普通預金口座を持っていれば、勤務先での受け取りもできる。 

オリックス銀行カードローン……借入残高が免除される保障付きプランを選べる

オリックス銀行のカードローンは、借入限度額に応じて1.7%~17.8%の金利が適用される。上限金利は高めだが適用される金利の幅は広く、審査結果次第で低い金利が適用される可能性がある。

死亡・高度障害またはガンと診断確定された場合に借入残高が免除される、保障付きプランを選べるのも特徴だ。保障付きプランを選んだ場合でも、保険料や金利の上乗せといった負担はない。

申し込みには、満20歳以上69歳未満で毎月安定した収入があるなどの条件を満たす必要があるが、オリックス銀行に口座がなくてもよい。手続きは基本的にネットで行えるが、ローンカードは自宅で受け取る必要がある。 

ジャパンネット銀行ネットキャッシング……初めての利用に限り借り入れから30日間の利息が0円

ジャパンネット銀行のネットキャッシングの金利は、利用限度額に応じて1.59%~18.0%と幅が広く、審査結果次第では低い金利が適用される可能性がある。また初めての利用に限り、借り入れから30日間の利息が0円となる。

申し込みには、満20歳以上70歳未満で安定した収入があり、ジャパンネット銀行に普通預金口座があるなどの条件を満たす必要がある。ジャパンネット銀行に口座がない場合には同時申し込みが可能だ。カードローンの手続きはネットで完結し、ローンカードは発行されない。ATMを利用した借り入れや返済は、ジャパンネット銀行のキャッシュカードを利用して行う。 

4.ネット銀行のカードローンを利用する際の3つの注意点

ネット銀行のカードローンを利用する際には、次のような点に注意してほしい。

⑴勤務先への在籍確認が取れるまでは審査に通らない

カードローンの本審査では電話で勤務先へ在籍確認が行われる。在籍確認が取れなければ審査には通らない。会社が休みで在籍確認が取れない場合には、カードローンの借り入れまでに時間がかかるため注意が必要だ。

⑵カードローンの審査を受けてみなければ適用される金利はわからない

一般的にカードローンの金利は3.8%~13.8%や1.9%~14.5%のように、幅を持って表示されている。実際に適用されるカードローンの金利は審査によって決まるため、審査を受けてみなければわからない。表示されている金利は目安となるものの、そのまま適用されるわけではないということは知っておこう。

金利は利用限度額が大きいほど低くなるため、同じ銀行のカードローンでも、なるべく利用限度額で契約することで金利を下げられる可能性がある。利用限度額いっぱいまで借りる必要はないため、借入希望額よりも大きな限度額で申し込み、より低い金利で借り入れを行うのも有効な方法だ。

この場合の目安としては、年収の3分の1程度を利用限度額としてカードローンを申し込んでみるとよいだろう。ただし利用限度額が大きくなるほど審査は厳しくなるため、審査の結果、申し込んだ限度額よりも低い限度額が設定されることもある。

⑶カードローンの利用限度額や返済状況は他のローンの借り入れに影響する

カードローンの契約がある場合、実際の利用の有無にかかわらず利用限度額まで借り入れがあるとみなされ、住宅ローンなどのほかのローンの審査に不利に働く可能性がある。住宅ローンなどの契約を予定している場合、カードローンの借り入れはなるべく完済し、できれば契約自体を解消する、あるいは限度額を下げておいたほうがよいだろう。

またカードローンの返済が滞ってしまうと、その情報は信用情報機関に登録され、住宅ローンなどの審査には通りにくくなる。カードローンの返済が滞ることのないよう、無理のなく返済できる範囲での利用が基本だ。

5.目的別ローンや公的融資制度、契約者貸付制度などの選択肢も検討する

カードローンは審査の結果次第では比較的低金利で借り入れができる場合もあるが、一般的には割高になりがちだ。カードローン以外に選択肢はないか検討した上で利用するようにしたい。

住宅ローンや教育ローンなどの目的別ローンや、国や自治体が行う公的融資制度などは、利用に制約がある分、金利は低い。また貯蓄性のある保険に加入している場合には、契約者貸付という制度を利用して、解約返戻金の一定の範囲内で貸し付けを受けられる場合もある。

カードローンは計画的に利用すれば一時的なピンチを乗り切るのに有効な方法だが、使い方を間違えれば借金を膨らませてしまう恐れもある。あくまで一時的にお金が足りなくなった場合の「応急処置」としての利用が基本であり、生活費の補てんなど、慢性的な資金不足を補うためにカードローンを長期間利用し続けるということは避けたほうがいいだろう。

まずは家計を見直すなどして根本的な問題から解消することが大切だ。急な出費に対応できるよう、生活費の半年から1年分はすぐに現金化できる形で持っておくのが望ましい。

 
執筆・竹国弘城(ファイナンシャルプランナー)

証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP® 
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