カードローンはキャッシング専用のカードだが、クレジットカードでもキャッシングはできるので両者を混同している人は多い。カードローンとクレジットカードは何が違うのか、スペックや審査基準、機能などを含めて解説する。

目次
1,カードローンとクレジットカードの目的の違い
2,カードローンのカードとクレジットカードの基本スペックの違い
3,カードローンとクレジットカードの審査基準の違い
4,キャッシング機能の違い
5,カードローンとクレジットカードのキャッシングはどちらがお得か?

1,カードローンとクレジットカードの目的の違い 

カードローンとクレジットカードの違いを理解するには、両者の目的の違いを把握するのが早い。

カードローンの目的は「融資」

カードローンはお金を借り入れることができるサービスで、個人向けの無担保・保証人不要の融資である。住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどの目的別ローンと違い、使い道が自由なのでフリーローンの一種とされる。ただし、事業資金には使えない。

融資なので借り入れた金額(元本)だけでなく、利息を支払う必要がある。カードローンには一般的に貸金業法が適用されるが、銀行のカードローンには銀行法が適用される。

クレジットカードの目的は「立て替え」

クレジットカードによる商品やサービスなどの購入は、借り入れではなく「立て替え」にあたる。カード会社が代金を一旦立て替え、支払日に1ヵ月分まとめて金融口座から引き落とす。分割払いやリボ払いを選択した場合は、手数料が発生する。

クレジットカードにもキャッシング(ローン)機能はあるが、カードローンとの違いは、主な目的がローンではなくショッピングであることだ。海外旅行では、クレジットカードを利用する機会が多くなるだろう。なお、クレジットカードには割賦販売法が適用される。

2,カードローンのカードとクレジットカードの基本スペックの違い

両者には、目的以外にもさまざまな違いがある。カードローンのカードとクレジットカードの基本スペックの違いについて、両方を提供するJCBを例に説明しよう。
 

カードローン クレジットカード
年会費 無料 カードにより異なる
申込条件 ・ご本人がお勤めで
毎月安定した収入がある方
・20歳以上の方
・ご本人または配偶者に
安定継続収入のある方
(一部カードは学生を含む)
・18歳以上の方
ショッピング 利用不可 利用可能
キャッシング 利用可能 利用可能
付帯サービス なし ・ETCカード
・家族カード
・付帯保険 など

カードローンのカードはショッピング利用ができず、付帯サービスもないことがクレジットカードとの大きな違いだ。ここからも、借り入れに特化したカードであることがわかる。

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3,カードローンの審査基準はクレジットカードとどう違うか

審査基準は両者とも非公開となっているが、申込条件の違いから推測することはできる。

上記の表を見ると、カードローンは本人の支払い能力をより重視していることがわかる。JCBのカードローンは、パート・アルバイトや個人事業主の申し込みも不可となっており、基本的に給与収入のある人だけを対象にしていることは明らかだ。

クレジットカードでもランクが高いものや、ステータスカードと呼ばれる富裕層向けのものは審査基準が厳しいので一概には言えないが、一般的なクレジットカードと比較すると、カードローンのほうが審査基準は厳しいと考えていいだろう。

4,キャッシング機能の違い クレジットカードよりカードローンのほうが金利が安い場合が多い

カードローンとクレジットカードのキャッシング機能の違いをまとめると、以下の表のようになる(JCBの場合)。
 

カードローン クレジットカード
(キャッシング)
利用可能枠
(限度額)
50万~500万円 1万~100万円
融資利率
(年利)
4.40~12.50% 15.00~18.00%
返済方法 残高スライド元金定額払い
毎月元金定額払い
ボーナス併用払い
元利一括払い
毎月元金定額払い
ボーナス併用払い
ボーナス月のみ元金定額払い
元利一括払い
ATM利用手数料 無料(月3回まで) 有料
海外利用 不可 可能

カードローンの年利が、比較的低いことに注目したい。つまり利息負担が軽いということであり、これがクレジットカードのキャッシングと比べた場合の最大のメリットと言えるだろう。

カードローンの利用可能枠(限度額)は、貸金業法の総量規制により制限される。総量規制とは、住宅ローンとマイカーローンを除く借入総額が年収の3分の1までに制限されるものだ。

銀行カードローンは貸金業法の適用外だが、こちらも年収の3分の1を目安に制限されると考えていいだろう。

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5,カードローンとクレジットカードのキャッシングはどちらがお得か?

利息負担を考えれば、比較的年利が安いカードローンのほうがお得であることは間違いない。

ただし、借り入れに特化したカードを持っていることで、返済計画を立てず気ままにカードローンを利用する習慣がついてしまうと、返しきれない借金を抱えてしまうことになるだろう。

使い道が決まっている借り入れであれば、目的別ローンを検討するといいだろう。それ以外のまとまった借り入れはカードローンで、海外でのキャッシングや少額のキャッシングはクレジットカードで、といった使い分けを心掛けたい。

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執筆・モリソウイチロウ

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。  

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