カードローンには、大きく分けて銀行カードローンと消費者金融ローンがある。この2つの違いは、「総量規制」の対象かどうかだ。総量規制とは何か。また各社を比較しつつ、銀行と消費者金融のカードローンの違いや、それぞれの特徴を紹介する。
目次
1,銀行と消費者金融のカードローンの違い
2,銀行カードローンと消費者金融ローンを比較
3, 銀行カードローン大手5社の違いを比較
3-1,住信SBIネット銀行 カードローン
3-2,三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」
3-3,三井住友銀行 カードローン
3-4,みずほ銀行カードローン
3-5,オリックス銀行カードローン
4, 消費者金融ローン大手5社を比較
4-1,アイフル
4-2,プロミス
4-3,アコム
4-4,レイクALSA
4-5,アイフルSuLaLi
5,便利な消費者金融ローン、お得な銀行カードローン
1,銀行と消費者金融のカードローンの違い 最大の違いは「総量規制」の対象か否か
銀行カードローンと消費者金融のカードローンの明らかな違いは、「総量規制」の対象かそうでないかだ。総量規制とは、どういった決まりなのだろうか。
総量規制とは借入金額を「年収の3分の1」以下に限定する規制
貸金業法における総量規制とは、借入の合計金額が「年収の3分の1」を超えないように規制するものだ。たとえば、年収300万円の人が貸金業者から借りられるのは、100万円までとなる。
1社からの借入金額ではなく、すべての貸金業者からの借入額の合計が年収の3分の1以内でなければならない。総量規制の対象となる借り入れと、対象外の借り入れは、それぞれ以下のとおりだ。
総量規制の対象となる借り入れ | 総量規制の対象外の借り入れ |
---|---|
・消費者金融ローン ・事業者金融による個人事業者向け融資 ・クレジットカードのキャッシング |
・銀行カードローン ・銀行・信用金庫、信用組合、 労働金庫などによる融資 ・法人向け融資 ・クレジットカードのクレジット決済 (リボ払い・分割払い・ボーナス払い を含む) ・住宅ローン、自動車ローン ・高額療養費の貸し付け ・有価証券・不動産を担保とする貸付 ・不動産売却代金により返済される 予定の貸付 |
銀行カードローンは総量規制対象外だが自主規制がある
銀行カードローンなら法律上は総量規制を超える借り入れができ、実際そのような貸付が行われたこともある。しかし現在各銀行は、それぞれ自主規制として貸付ができるラインを定めており、支払い能力を超える可能性のある金額の借入は難しい。
全国銀行協会のレポート(2018年度)でも、総量規制により多重債務が抑止されている状況を踏まえ、銀行カードローンにおいて年収に対する借入額の比率を意識した審査方針を心がけるよう促している。つまり、総量規制の対象外である銀行カードローンでも、年収の3分の1を超える金額は借りられないと考えたほうがいいだろう。
2,銀行カードローンと消費者金融ローンを比較 金利、借入額、審査時間、審査難易度
総量規制以外では一般的な銀行カードローンと消費者金融ローンには、以下のような違いがある。
項目 | 銀行カードローン | 消費者金融ローン |
---|---|---|
金利 | 最大14.5%前後 | 最大18% |
借入額 | 設定された利用限度額まで | 年収の3分の1まで |
審査時間 | 最短翌営業日 (即日融資不可) |
最短30分 (即日融資可) |
審査難易度 | 比較的高い | 比較的低い |
次からは、各項目の詳細を説明していこう。
金利(実質年率)――銀行カードローンのほうが低め
金利は、消費者金融ローンよりも銀行カードローンのほうが低め。たとえば、消費者金融のアコムは三菱UFJフィナンシャル・グループの一員だが、金利は三菱UFJ銀行のカードローンよりも高い。
ローン名 | 金利(実質年率) |
---|---|
三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」 | 1.8~14.6% |
アコムのカードローン | 3.0~18.0% |
ただし、消費者金融ローンの中には、初めて利用する際に無利息期間を設けているところもある。これをうまく利用すれば、銀行カードローンよりも少ない利息で借りることができる。
借入額――消費者金融のほうが高いことが多い
借入額の上限は、消費者金融のほうが高い傾向がある。たとえば、アコムの融資額上限が800万円であるのに対し、三菱UFJ銀行カードローンの上限は500万円だ。
ただし消費者金融ローンは、実際は総量規制によって年収の3分の1が上限額になることに注意したい。銀行カードローンも、自主規制によってそれに近い借り入れ可能額になるだろう。
審査時間――消費者金融系のほうが短時間
審査に要する時間は、銀行カードローンよりも消費者金融ローンのほうが短い。三菱UFJ銀行のカードローンとアコムを比較してみよう。三菱UFJ銀行のカードローンでは、最短で申し込み日の翌営業日の審査回答・カード受け取りとなる。一方アコムは、自動契約機「むじんくん」で8時から22時まで申込ができ、その場で借り入れに使うカードが発行される。
銀行カードローンの審査に時間がかかるのは、反社会的勢力との取引排除を徹底するため、借り手の情報を警察庁に照会する仕組みになっているからだ。
審査難易度――消費者金融のほうが審査難易度は低い
銀行カードローンに比べて、消費者金融ローンのほうが審査に通りやすい傾向がある。その理由としては、以前銀行カードローンの過剰貸付が問題になったことや、消費者金融カードローンでは金利が高く設定されていることなどが挙げられるだろう。
なお、銀行カードローンの申込においては、保証会社の審査も通過しなければならない。たとえば、みずほ銀行のカードローンでは、みずほ銀行だけでなく、その指定保証会社であるオリコの審査も受けることになるのだ。
3,銀行カードローン大手5社を比較 住信SBI、三菱UFJ、三井住友、みずほ、オリックスの金利など
銀行と消費者金融のカードローンの違いについて見てきたが、ここからは数ある銀行カードローンの違いを解説していく。ここで紹介するカードローンは、いずれもウェブのみで申込を完結することができる。なお金利は、限度額が多くなるほど下がっていく。
ローン名称 | 金利(実質年率) | 限度額 | 備考 |
---|---|---|---|
住信SBIネット銀行 カードローン |
1.59~14.79% | 10万円~ 1,200万円 |
銀行キャッシュカード 利用可 |
三菱UFJ銀行 カードローン 「バンクイック」 |
1.8~14.6% | 10万円~ 500万円 |
― |
三井住友銀行 カードローン |
1.5~14.5% | 10万円~ 800万円 |
― |
みずほ銀行 カードローン |
2.0~14.0%(*1) | 10万円~ 800万円 |
銀行キャッシュカード 利用可 |
オリックス銀行 カードローン |
1.7~17.8% | 800万円 以内 |
死亡・高度障害・ がんの診断確定時は 借入残高が0円に |
(*1)住宅ローンのご利用で、カードローンの金利を年0.5%引き下げ可能。引き下げ適用後の金利は年1.5%~13.5%。
それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見ていこう。
3-1,「住信SBIネット銀行 カードローン」 キャッシュカードにローン機能が付帯
ローン専用カードがなく、銀行キャッシュカードにカードローン機能が付帯する。利用明細書をネットのみで確認できるので、周囲に知られることなく利用できる。借入・返済時のATM手数料は無料で、ローソン銀行、イオン銀行、セブン銀行、イーネットのATMを利用できる。
3-2,「三菱UFJ銀行カードローン バンクイック」 三菱UFJ銀行の口座所有者は手間が少ない
三菱UFJ銀行の普通預金口座を持っている人は申込時の入力項目が少なく、カードが手元に届く前でも振込による借入ができる。
借入・返済時のATM手数料は無料で、同行ATMのほか、セブン銀行、ローソン銀行、イーネットのATMを利用できる。
3-3,「三井住友銀行 カードローン」 三井住友銀行口座所有者はウェブで申込から契約まで完結できて便利
三井住友銀行の普通預金口座・キャッシュカードを持っている人は、申込から契約までウェブで完結できる。
借入・返済時の手数料は、三井住友銀行ATMのほか、セブン銀行ATM、ゆうちょATM、三井住友銀行ATM、イーネットATM、ローソン銀行ATMの提携ATMを利用すれば無料で利用できる。
※普通預金口座との兼用カードの場合、ゆうちょATMは利用不可
3-4,「みずほ銀行カードローン」 キャッシュカード付帯または専用カードを選べる
みずほ銀行の普通預金のキャッシュカードをローンカードとしても利用するか、ローン専用カードを発行するかを選べる。同行に口座を持っていない場合は、同時に普通預金口座の開設を申し込むこともできる。
カードローンの借入中は、同行ATM時間外手数料や同行本支店宛て振込手数料が無料になるほか、コンビニATM時間外手数料・利用手数料や他行宛て振込手数料が月4回まで無料になる。
3-5,「オリックス銀行カードローン」 がん保証特約など独特なプランも
利用限度額100万円以上で、「がん保証特約付きプラン」に申し込むことができる。これは、死亡・後遺障害、あるいはがんの診断が確定した場合に保険金が返済に充てられる。保険料は、オリックス銀行が負担する。
借入・返済時のATM手数料は無料で、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、西日本シティ銀行、ゆうちょ銀行、セブン銀行、イーネット、ローソン銀行、イオン銀行のATMを利用できる。他の銀行カードローンと比べて金利が高く、その点では消費者金融ローンに近いと言える。
4,消費者金融ローン大手5社を比較 アイフル、プロミス、アコム、レイクALSA、アイフルSuLaliの金利など
次は、消費者金融ローン大手5社の金利や限度額などを比較してみよう。この5社も、ウェブのみで申込が完結する。
ローン名称 | 金利 (実質年率) |
限度額 | 備考 |
---|---|---|---|
アイフル | 3.0~18.0% | 800万円以内 | 30日間無利息 |
プロミス | 4.5~17.8% | 500万円以内 | 30日間無利息 |
アコム | 3.0~18.0% | 1万円~800万円 | 30日間無利息 |
レイクALSA | 4.5~18.0% | 1万円~500万円 | 60日間/180日間無利息 (条件あり) |
アイフルSuLaLi | 18.0% | 10万円 | 30日間無利息 |
消費者金融ローンの多くは銀行カードローンよりも金利が高いが、初回利用時などに無利息期間が設けられている。無利息期間内に返済すれば、銀行カードローンよりもお得だ。各社の特徴などを見ていこう。
4-1,「アイフル」 カード到着前でもスマホで借入できる
ウェブで申し込めて、最短30分で審査完了、即日融資も受けられる。銀行への振込のほか、スマホアプリを使うとカードが届く前でもセブン銀行ATMで借入ができる。
カードは郵送や店頭受け取りのほか、無人契約でんわBOX「てまいらず」で受け取ることもできる。カードはセブン銀行のほか、ローソン銀行、イオン銀行、三菱UFJ銀行、イーネット、西日本シティ銀行、親和銀行、福岡銀行、熊本銀行のATMで利用できる。なおアイフルを初めて利用する人は、無担保キャッシングローンが最大30日間無利息になる。
4-2,「プロミス」 カードがなくても振込で借入ができる
ウェブで申し込めて、最短30分で審査完了。「口座振替による返済」と「カード不要」を選択すると、ウェブのみで手続きが完結し、振込による借入を利用できる。
店頭窓口やプロミスATMのほか、三井住友銀行、ゆうちょ銀行、イーネット、セブン銀行、ローソン銀行でカードによる借入・返済ができる。また、三井住友VISAプリペイドにチャージするかたちで借入をすることもできる。
なおプロミスを初めて利用する人のうち、メールアドレスを登録の上、ウェブでの明細確認を選択すると、初回出金の翌日から30日分が無利息になる。
4-3,アコム 借入ができるかどうかの「3秒診断」も
ウェブで申し込めて、最短30分で審査完了。自動契約機「むじんくん」を利用すれば8時から22時まで申込ができ、その場でカードが発行される。公式サイトでは「年齢」「年収」「カードローン他社お借入状況」を入力するだけで、借入ができるかどうかを仮審査する「3秒診断」も用意されている。
店頭窓口やアコムATMのほか、セブン銀行、ローソン銀行、イーネットのATMでカードによる借入・返済ができる。また、銀行振込による借入もできる。
なおアコムを初めて利用する人は、無担保カードローンが契約日の翌日から30日分無利息になる。
4-4,レイクALSA 最短15秒で審査結果がわかる!
ウェブからの申込なら最短15秒で審査結果が表示され、最短60分でお金が振り込まれる。スマホを使えば、セブン銀行ATMでも借入ができる。
カードによる借入・返済に対応しているのは、新生銀行カードローンATMのほか、セブン銀行、ローソン銀行、イーネットのATMだ。
なお、ウェブからの申込で初めてレイクAKSAと契約した人は、借入契約日の翌日から60日間無利息(限度額200万円まで)になる。もしくは、「借入5万円分について180日間無利息」を選択することもできる。後者は、初めての契約ならウェブ申込でなくても利用できる。
4-5,アイフルSuLaLi 限度額10万円固定の独特なサービス
「女性向け」を謳っており、ファッショナブルなデザインのカード、女性オペレーターによる専用ダイヤル、限度額10万円固定といった、他の消費者金融ローンにはない特徴がある。
「年齢」「雇用形態」「年収」「他社借入金額」を入力して仮審査をする「一秒診断」も利用できる。なおアイフルを初めて利用する人は、無担保キャッシングローンが契約日の翌日から30日間無利息になる。
5, お得な銀行カードローン、便利な消費者金融ローン
銀行カードローン、消費者金融ローンそれぞれの特徴を一言で表すと、借入を急ぐ場合は即日融資もある消費者金融ローンは「便利」で、比較的借入が高額で長期的に返済していくなら上限金利が低めなカードローンは「お得」と言えるだろう。
それぞれのローンの特徴を踏まえ、その時の自分のニーズに合うものを選んでほしい。おなじみのフレーズだが、「ご利用は計画的に」ということも心得ておきたい。
文・モリソウイチロウ(ライター)
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