図3 WEO2021~WEO2024 STEPSの中国の太陽光発電量(左)と石炭火力発電電力量(右)
国際エネルギー機関IEAの不可解な中国シナリオ
WEO2022以降の太陽光発電電力量のシフトup幅は非常に大きくWEO2024の2050年値はWEO2021の3倍以上で(左図)、世界の太陽光発電の約半分を占める。
石炭火力発電は足元でも増加している実績に対して、STEPSでは2030年以降は減少するという共通の傾向の下で、WEO2021~WEO2024ではシフトdownしており、WEO2024では2030年から2050年にかけて70%減少している(右図)。
この太陽光と石炭火力の変化を反映して、中国の電力CO2排出係数(算定値注2))は、図4のように変化している。

図4 WEO2021~WEO2024 STEPSの中国の電力CO2排出係数
至近年の0.7kg-CO2/kWh程度の実績から、WEO2021~WEO2024で2050年に向かって大きく低下するという共通の傾向の下でシフトdownしており、WEO2024の2050年値0.13kg-CO2/kWhはWEO2021の1/2、現状の1/5で、この値は図2の世界のCO2排出係数と同じである。
即ち、STEPSでは中国の電力CO2排出係数の著しいシフトdownが、世界の電力CO2排出係数、ひいてはCO2排出量をシフトdownさせていることが確認できた。
次に、中国の太陽光発電設備容量と設備利用率を図5に示す。設備利用率は、発電設備が年間を通じてフルパワーで発電できたと仮定した発電電力量に対する実際の発電電力量の割合である。

図5 WEO2021~WEO2024 STEPSの中国の太陽光発電の設備容量(右)と利用率(左)
STEPSの太陽光発電の設備容量はシフトupしており、WEO2024年の2050年値はWEO2021から4倍以上である(左図)。2030年の太陽光発電設備容量3300GWという値は、中国政府の政策目標「太陽光と風力の合計の設備容量を2030年までに1200GWにする」(WEO2024 AnnexBに記載)の3倍弱と、大きく乖離していることが確認された注3)。