五輪においても2021年東京五輪では野球とソフトボールが正式種目として採用されたが、2024年パリ五輪では除外され、2028年ロサンゼルス五輪では再び正式種目として復活する。この事実こそが世界における野球の立ち位置を表していると言えるだろう。

欧州組の選手に「大谷のことをどう思いますか?」という質問自体がナンセンスであり、サッカー選手に対するリスペストに欠けていることをインタビュアーは自覚すべきだろう。

メジャーリーグサッカー(MLS)で活躍する元日本代表DF吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)でさえ、DAZNの『内田篤人のFOOTBALL TIME』に出演した際、「大谷も人気だが、ロスでは(大谷の銀行口座から約1,700万ドルを詐取した元通訳)水原一平の方が有名」と語るほど、世界的にはマイナースポーツなのだ。

サッカーの競技人口は世界で約2億6,000万人に対し、野球の競技人口は約3,500万人。およそ8倍もの差がある。国内においてサッカーの競技人口の減少が叫ばれている(2012年の約582万人から2022年には約309万人に減少)が、野球の競技人口の減少スピードはサッカーを超え、2000年の約597万人から2022年には約268万人と半減に近い数字となっている(いずれも笹川スポーツ財団調べ)。もちろん少子化の影響もあるだろうが、競技そのものの魅力や初期投資(道具などを揃える費用)の少なさも影響しているだろう。

大一番であるW杯最終予選が、大谷フィーバーにかき消されてしまった感があり、代表イレブンは戸惑っているかも知れない。しかし、せいぜい日本人と米国人しか知らないであろう大谷に比べ、欧州5大リーグのクラブでレギュラーを張っているような選手であれば、その知名度は世界中に轟いているはずだ。せめて自信だけは失って欲しくはない。


三浦知良 写真:Getty Images

かつてのW杯予選で帯びていた熱狂