日本代表の活躍によってサッカーの話題をより広く届ける覚悟を口にした堂安は、野球一色のメディアに対しと語った。

「いろんな意見があると思うし、プレミアリーグで活躍する選手がいたり、それこそ(伊藤)洋輝がバイエルンに移籍したのに、そのニュースが少ないと感じるけど、野球をしている彼らがとんでもないことをしているのも分かっている」

「そこに僕らが『もっとサッカーを報道しろよ』なんていう、そんなレベルの低い話はしたくない。アスリートは結果を出してこそ反響があるものなので、僕たちは自分たちのやれることをやりたい。だからこそ、僕たちがW杯を優勝したときには皆さんがしっかりと報道してくれるように僕たちはやるだけだと思います」

口調や言っている内容は穏やかだが、そこにはサッカー報道が少ないことへの反骨心が見え隠れする。特に「レベルの低い話はしたくない」というコメントの行間を読むと“こんなことまで言わせているあなた方(テレビや新聞メディア)のレベルが低い”と暗に示しているようにも感じる。さらに堂安は、このように語っている。

「やっぱり日本の人たちは見たことないものが好きじゃないですか。大谷選手は見たことのないことをやってきたわけで。サッカーと言えばビッグクラブに行く選手は過去にもいたわけで、そういうのに皆さんは慣れている」

「だから見たことのない景色を見せるにはW杯で最低限ベスト8以上、W杯優勝を目指すか、誰かがバロンドールを取るくらいのレベルまで行き切るかのどちらかだと思います。僕がチームとして代表で活躍していく中で、目指すべきところはW杯優勝なんじゃないかなというのは、日本行きの飛行機の中で考えていました」

吉田麻也 写真:Getty Images

世界における野球とサッカーの立ち位置

野球はMLBを頂点とした米国をはじめ、日本を含むアジアの一部、中南米の一部、オーストラリアでしか純然たるプロリーグは存在しない。欧州では2015年、6か国(チェコ・フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・サンマリノ)11チームが参加した野球のプロリーグ「ユーロリーグベースボール(ELB)」が発足したが、わずか2年で崩壊した。