超過死亡は、コロナワクチンの接種と関連するので、図2に、100人あたりのコロナワクチンの総接種回数を示す。日本のワクチン接種回数は、2022年の8月までは、イタリア、スウエーデンと変わらなかったが、それ以降、両国の接種は増えていないが、日本は接種を進めており、現在は、世界でもダントツの接種回数となっている。一方、ブルガリアとルーマニアの接種率は30%ほどで、追加接種はほとんど行われていない。

図2 コロナワクチンの総接種回数
Our World in Data

図3は、流行の始まりから、2024年12月末までの、各国における超過死亡の推移を示す。超過率は、各月の超過死亡を該当する月における4年間の死亡数の平均値で割って算出した。超過率は、平均値が10,000人、その月の死亡数が12,000人であれば+20%、死亡数が8,000人であれば-20%になる。

図3 ヨーロッパ4カ国と日本における超過死亡の比較
欧州連合統計局のデータから筆者作成

ブルガリアとルーマニアは、2022年4月までに、コロナの流行に一致して、超過率が100%に達するピークが見られた。そのあとは一転して、2024年12月末まで過小死亡が続いている。

スウェーデンでは2020年12月末までに2回、イタリアでも、2021年4月までに3回、20%を超えるピークが見られたが、それ以降は、目立ったピークは見られていない。両国ともに、2024年1月から6月までの間は過小死亡が観察された。

4カ国で超過死亡のピークが見られたのは、ワクチン接種が本格化する前で、超過死亡の原因は、コロナによる感染死と考えられる。ブルガリアとルーマニアは、2023年以降は、全ての月が過小死亡であった。2024年になると、イタリアでは12ヶ月のうち7ヶ月、スウエーデンでも、4ヶ月が過小死亡で、10%を超える超過死亡が見られた月はなかった。

ヨーロッパ諸国と異なる経過を示したのが日本である。2020年には、ヨーロッパでは、コロナによる感染死の激増で、大幅な超過死亡がみられたが、日本では、逆に、1月、2月には過小死亡が見られ、年間を通して超過率は5%以下であった。ワクチン接種が始まってからは、かえって超過率が上昇し、2022年の8月以降は、一貫して20%前後の超過死亡が続いている。日本の超過率は、5カ国の中で、2021年12月までは、最も低かったのが、2022年の8月以降は最も高い国になっている。