ヨーロッパの4カ国で見られた超過死亡は、ワクチン接種の始まる前に、コロナの流行に一致したピークが見られたが、わが国では、ワクチン接種の開始後に、持続的に超過死亡がみられ、ヨーロッパのように明確なピークが見られない。とりわけ、ワクチン接種率が低いブルガリアやルーマニアは、日本と対照的に、2022年4月まで超過死亡の大きなピークが見られたものの、それ以降は、一貫して過小死亡が続いている

ワクチン接種が普及した2022年の秋以降は、ワクチン接種率が高い日本で超過死亡が見られたのに、接種率が低いルーマニアやブルガリアでは過小死亡がみられるという、ワクチンを打つとかえって死亡者が増えることを示す現象が見られる。この現象を説明するのに、ルーマニアやブルガリアは2022年の4月までに大きな流行があったので、ハイリスクのグループはこの時期に死亡しており、それが、以後続く過小死亡の原因となったことも考えられる。

そこで、筆者は重回帰分析を用いて以下のような検討を行なった。

ビッグデータが示す昨年後半から続く超過死亡の要因

ビッグデータが示す昨年後半から続く超過死亡の要因
図1に示すように、日本で2021年以降に観察された超過死亡は、ワクチン接種の開始時期やコロナの流行に同期しているが、コロナ感染による直接死亡(コロナ死)よりも、コロナ死以外の原因で死亡する割合が多い。 日本でコロナ死が最も多か...

超過死亡のように、いくつかの要因の関与が考えられる場合に、重回帰分析によってそれぞれの要因がどれくらい超過死亡に影響しているかを分析することができる。すなわち、重回帰分析で超過死亡を目的変数、ワクチンの追加接種回数やコロナ死亡者数、コロナ感染者数を説明変数とすれば、ワクチンの追加接種が超過死亡に関与しているかを明らかにすることができる。

Our World in Dataには重回帰分析に必要な目的変数や説明変数が含まれており、今回は39カ国の以下のデータを用いた。