春のフグの釣り方

先にも述べたが、ベタ底か底よりほんの少し上を狙っていく釣り方となる。成田さんは、次のように釣りを展開している。

まず、砂地に岩礁が交じるなど極端に底が荒くない場所では、着底後にオモリを底に着けたまま待機し、フグが寄るのを待って数秒おきに空アワセを入れる。いわゆるゼロテン+タイム釣りによる攻略だ。

どのくらい待機するかは、フグの活性や底の荒さで変わってくるので「この場合は何秒」と一概には言えない。ここで注意したいのは、底に着けるといっても、仕掛けを引きずらないことだ。

次に起伏のある岩場や魚礁の場合の攻め方。とにかく根掛かりしやすいので、着底したらすぐに空アワセを入れ、またすぐに着底させるという動きを繰り返すという。仕掛けを海底でうさぎ跳びさせるイメージだ。この動きがそのまま誘いを兼ねる。

以上が成田さんによる底攻略のベースとなる部分だが、三寒四温という言葉があるように春先は天候も不安定。穏やかな日であれば先述の動作をイメージ通り行えるが、風波があると船の揺れにより精密に底を釣るのが難しくなる。一方で腕達者な人たちによれば、天気の悪いときの方が船が混雑せず、思い通りに攻められて好釣果が得やすいという。

波が高い日は、サオの上下動で船のアップダウンを吸収し、とにかく捉えた底ゾーンから仕掛けを逸脱させないよう尽力する。サオの動きで吸収しきれないときは、オマツリしない範囲でミチイトを送り出し、底を逸脱しないようにするときもあるという。もちろん船が大きく下がるときは素早く巻いてミチイトがゆるまないようにする。

名人の工夫

感覚的な工夫は場数を踏まないと実践が難しいが、エサやハリの管理など、画一的な部分は名人の技をすぐに実践することができる。

エサは塩締め

まずはエサ。塩締めされた加工済みのエサを使う場合、解凍を急いだり乾いてきたからと海水をかける人がいるが、これはドリップが流出してしまうためNGとのこと。見た目がつやつやしていても、エキスが減ったエサは集魚力がガクッと落ちるからだ。