他にも、ラ・リーガ女子(スペイン)、イングランド女子スーパーリーグ(WSL)も活況を呈している。女子サッカー界ではこれまで、米国代表や米国女子サッカーリーグ(NWSL)が世界をリードしていたが、ここにきて欧州が追い付き追い越そうとしている。

世界的に注目されるバルサ対レアルを例に挙げれば、これが男子の試合だったらスタジアム内外は殺気立った雰囲気となる。アウェイのサポーターに対しては、最寄りの駅を使わないことや、タクシーでの来場を呼び掛けられ、スタジアム入場までの導線も完全に隔離されているほどだ。

女子サッカーの試合となれば全く雰囲気は異なり、女性や子どもでも恐怖を感じずに観戦できる環境となる。同じクラブの対戦であるにも関わらず、男子か女子かの違いだけで、客層がガラリと変わるのだ。発煙筒が焚かれることもなければ、聞くに堪えないヤジが飛ぶこともない。その事実だけでも、スタジアムに行きたくとも行けなかった女性や子どもが観戦に訪れる動機となる。

日本の場合、Jリーグの会場の雰囲気が殺気立つことは非常に少なく、女性や子どもでも安心して観戦できる環境が既に整っている。それは素晴らしいことなのだが、一方で、あえてWEリーグを観戦にスタジアムを訪れる動機が1つ消えることにも繋がっていると言えよう。

日頃からJリーグのスピード感に慣れてしまっているファンが、プロとはいえ女子サッカーを観戦したとしても物足りなさを感じても致し方ないだろう。JリーグのファンをWEリーグに引き込むことの難しさが、そこにはある。


浦和レッズレディース 写真:Getty Images

SVリーグや女子プロレスも参考に

2024/25シーズンからはAFC女子チャンピオンズリーグが始まり、昨季のWEリーグ王者の浦和が参戦している。しかし、グループステージはベトナム(ホーチミン)での集中開催で、グループ首位通過した浦和の初戦、オディシャFC(インド)との一戦(トンニャット・スタジアム)では17-0という記録的圧勝を収めるも観客数が168人という有り様では、女子欧州CLのような競争力を帯びたリーグ戦となるまでには相当の時間がかかりそうだ。