このうち、2011年の新潟対INAC神戸の一戦は、J1第20節新潟対清水エスパルス戦との“ダブルヘッダー”として開催されたもので、純粋な女子サッカーでの観客動員数とは受け止められないものだ。

史上最多動員数記録の理由
史上最多の動員数を記録した8日の試合はウインターブレイク明けの一戦で、クラシエカップ戦を制した広島とWEリーグ2連覇中の浦和という好カードである上、観客動員1万人を目指し「自由すぎる女王の大祭典」と銘打った一大プロジェクトが奏功した。
しかしながらこの動員数2万156人という数字は、様々な無料招待や、先着10,000人への「レジーナ大祭典ハッピ」のプレゼント企画、さらに1万人を達成した暁には抽選で「レジーナ選手直筆サイン入りプレー写真」のプレゼント企画、という大盤振る舞いによって集客した結果だ。
当日は想定を超える多くの観客に対し、入場ゲートを1つしか設けず大行列になった末、試合開始に間に合わなかった観客が続出。混乱を生んだだけではなく、プレゼントされたハッピが試合日の夜にはメルカリで大量に出品される結果を生んだ。
この日の観客が、最も安価な席でも2,000円のチケット代金を支払い、リピーターになってくれるかどうかは、3月15日に開催される次の広島のホームゲーム、セレッソ大阪ヤンマーレディース戦(エディオンピースウイング広島)で明らかとなるだろう。記録を更新したことで「歴史に名を刻んだ!」と胸を張るのは勝手だが、次戦の観客動員数が「ウン千人」では目も当てられない。

WEリーグ、日本女子サッカー界の現状
WEリーグが始まった2021/22シーズン当時は、まだコロナ禍の影響が色濃く残り、集客目標を「1試合平均5,000人」と掲げたものの、1年目の結果は平均1,560人だった。2年目は1年目を下回る平均1,401人と厳しい状況が続いた。3年目の2023/24シーズンになって前年比23%増の平均1,723人と盛り返したものの、「平均5,000人」には程遠いままだ。