さらに、Acrobat ではなく Apple の「プレビュー」アプリを使うことで、巨大サイズのページを入力してもエラーを出さずに受け付けることを確認。

そこから少しずつページ寸法を引き上げていった結果、地球と月の距離に迫る数十万キロメートルの大きさを軽々と超え、最終的には 37 兆光年四方の PDF を作成してしまったのです。

もちろん、そんなサイズの PDF を紙に印刷するのは不可能ですし、そもそも画面表示だけでも現実的には何の役にも立ちません。

さらに37兆光年の大きさを正確にみるためのビュワーも存在せず、見かけ上はなんの変哲もない1枚の白紙のPDFに見えてしまいます。

(※問題の37兆光年四方のPDFはこちらからダウントードできます。でも見たらきっとがっかりします

それでも、この「宇宙よりも大きな PDF」は381km という数字が「PDF の限界」ではなかったという事実を示しました。

私たちが当たり前だと思ってきた“上限値”は、実は特定のソフトウェアが設けた枠の中でしかなかったのです。

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ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部