あなたは「PDF」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

ビジネス文書や取扱説明書、大学論文など、どれも日常生活や仕事の場面で欠かせない存在です。

しかし、そんな身近な PDF が、実は「宇宙よりも大きく」なる可能性があると言ったら信じられますか。

これまでは「一辺 381 キロメートルまでしか作れない」と考えられていた PDF ですが、ある開発者がとある実験によって、この“常識”をいとも簡単に覆してしまいました。

数百キロメートルどころか、何兆光年という天文学的スケールでさえ PDF は扱えるというのです。

どうしてそんなことが可能なのでしょうか?

目次

  • PDFとは何か?
  • 観測可能な宇宙より大きいPDF

PDFとは何か?

宇宙よりも大きな PDF を作成:大きさは設定上「37 兆光年」
宇宙よりも大きな PDF を作成:大きさは設定上「37 兆光年」 / 381㎞四方のPDF/Credit:wikipedia

PDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)は、一言でいうなら「どのパソコンやスマホでも同じ形で見られるデジタルの紙」です。

もともとは、「コンピューターが違うだけで文字や画像の配置がズレる」という悩みを解決するために、1993 年にアドビ社の創業者ジョン・ワーノック氏が生み出しました。

たとえば、ある人が作った書類を別のパソコンで開くと文字化けしてしまう――そんなトラブルを根本的に減らしたのが PDF の最大の特徴です。

最初は「ファイルサイズが大きい」「インターネット回線が遅い」という理由で普及しにくかったのですが、1996 年にアメリカ国税庁(IRS)が税務書類として公式に PDF を採用したことで注目度が上がりました。

さらに 2008 年にはオープンスタンダードとなり、誰でも無料で扱えるようになったため、一気に世界中に広まります。

いまでは、ビジネス用の契約書からアーティストの作品集、そして宇宙飛行士が参照する船内マニュアルに至るまで、実にさまざまな現場で利用されています。