ここではっきり言えるのは、「トランプは無能」「気まぐれ」「支離滅裂」だから、破綻した高率関税を導入したが、「どうせ失敗に気づいてすぐに方針転換するだろう」といった見方には、大きなリスクがある、ということだ。
トランプ大統領の背景には、19世紀モンロー・ドクトリンのアメリカの政治思想の伝統、アメリカの国力に幻想を抱かない現代の保守主義者の思想などが、存在している。少なくとも早々と簡単に撤回されると予測するのは、難しいと思う。むしろ、甘く見過ぎていると、日本の方が痛い目にあうのではないか。
日本人は、「トランプはバカだ」の大合唱に精力を注いでいる暇があったら、新しい時代を乗り切る方策を、真剣に考えるべきではないだろうか。
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