しかし現在の中野区政は区民サービスのランニングコストがここ5年間平均約15%/年の増額している。また物価高騰で特に工事費は中野サンプラザの事例からもわかるように増加し続けているにも関わらず、財政当局はインフレをほぼ勘案していないため、近い将来に財政運営は大変厳しい状況になると考える。
詳しくは前稿「インフレを勘案した自治体の財政運営:中野区を事例に」を参照されたい。
(3)総務委員会にて再開発白紙の報告
紆余曲折あり、中野区は3月11日、議会において中野サンプラザ再整備計画を白紙とすることを報告した。当初、中野区は施行予定者の見直した事業計画で進めることが既定路線であったが、明確な理由を示さずに中野区は施行予定者との基本協定を解除する予定となった。
区民の声が行政に届いたのか、望まぬ再開発とならず安堵するところだが、要所でその判断理由が一切説明されない現在の区政の進め方に疑義が生じる。これはサンプラザ問題に限ったものではない。また、このままでは建物は廃墟として、そのまま残存していくこととなり、早急に方向性を示す必要がある。

表1 サンプラザ再開発これまでの経緯
3. 議会がサンプラザ再開発に関する議決権を取り戻す
議会は、2024年3月に旧中野区役所の建物の売却を許可する議案を可決した。これがサンプラザ再開発において議会がプロジェクトの是非を判断する最後の議決案件であった。そのため、この度の見直された再開発を「区議会で止めろ」などとご指摘を受けるも議会にはその手段がなかった。
建設費は900億円増加、議案可決時とは全く異なる事業計画になることから、「議案は無効」ではとの問いに対して、区は有効と主張した。またサンプラザ再開発に関する是非の判断をする、別の機会を求めたところ、検討しないとのことだった。
これは、つまり今後、サンプラザ再開発は区民の代表である区議会議員にその賛否を問うつもりはなく、区長が独善的にプロジェクトを進めるということを意味していた。