報告書が、この案件は企画部と服部副知事が知事協議で説明していたので、知事は企画部の主導だった述べているように、実際に推進していた産業企画部が知事の感度を企画部を通じて知るしかなかったとし、知事と十分なコミュニケーションが取れていなかった背景を指摘した。
主な行為④:県立美術館館休の件
知事が令和5年7月20日に美術館が4日後から9月初めまで休館すると報道で知り、その日の深夜0時46分、数回にわたり側近幹部らにチャットを送り、「美術館の長期休館は聞いていない、知事が報道で知るのはおかしい」と指摘し、翌日朝一で教育長と担当部長を知事に呼ぶよう指示し、こんなことでは美術館への予算措置はできないと示唆した件である。
教育委員会は令和5年3月頃に同年7月24日から9月8日までの休館を決め、それを記したリーフレットのカレンダーを同年4月27日頃に秘書課を通じて知事と副知事に配布し、美術館のHPにもその旨が告知されたと記されている。
また教育長は7月21日に知事を訪い、万博のためのメンテナンスで休館が必要なこと、費用は令和4年度の補正で予算化されていること等を述べたが、知事は納得せず、教育長は謝罪するしかなかった、と報告書は記している。
知事は休館中に代替事業を行うよう指示し、美術館が急遽、盆踊りの展示や他施設への出前事業、地域イベントなどを企画した結果、知事は7月31日の協議でこれを了承した。が、会見で委員長はそれらのことには言及していない。
が、委員長は、教育委員会は独立した行政委員会で、知事に指導権限はないと述べ、事情を聞かず叱責するのは相当でないし、予算措置を仄めかすことも不適切だとし、一定範囲の職員が知ることとなり萎縮させたので、パワハラに当たると認定した。
この件では知事のパワハラをハイライトするのではなく、むしろ知事が代替事業の実施を指示した結果、美術館が短期間で幾つかの代替事業を実施したことを評価すべきではなかろうか。折角の夏休みに、代替案もなく県民のための公共施設を休館するは怠慢だからである。