南北融和路線に転じていた統一教会と、安倍晋三元首相は外交政策でまったく水と油だった。また、このころ安倍が統一教会からのアプローチを袖にしていたことは多くの証言が明らかにしている。

これに対して、麻生太郎政権の09年6月には、統一協会の関連会社の社長以下7人が霊感商法で摘発される「新世事件」が起こったにもかかわらず、9月に成立した鳩山内閣の下ではさらなる捜査はなかったし、文化庁のヒアリングも行われなくなった。

民主党支持に統一教会が民主党支持に転じても不思議ではなかったのだが、同じように保守的な思想の信者が多い立正佼成会などが民主党支持に転じた結果、信者数の減少や組織の分裂に至ったのを見て躊躇し、小泉人気や安倍人気で優勢だった自民党から離れなかっただけだ。

一方、政権を失った自民党にとって、さらなる支持勢力喪失は困るというので、それまで冷たくしてきた各種団体に少し甘くなった。そのなかに、旧統一教会もあったという指摘は、ある程度、正しいだろうし、それは、安倍元首相にも当てはまるかもしれない。

安倍元首相は自身の選挙が楽だったこともあって、統一教会に限らず、父親などの支持者であっても、ややこしい経緯を引きずっている団体や個人とは距離を取っていた。だが、自民が野党に転落した09年からは、その姿勢を少し軟化せざるを得なくなっていた。

しかし、統一教会が自民党への支持を続けていたにもかかわらず、政権に復帰した安倍首相は統一教会が最も願う南北朝鮮への融和策を採ることはなかった。しかも、霊感商法を厳しく規制し集団訴訟を認める法改正までしたことから、新たな被害を劇的に減った。安倍元首相が政権にあったときにつながりを批判されていたのは、神道系の団体であって旧統一教会は祖父・父との関係でおまけで言及されるだけだったのに、暗殺後、急に深い関係だといわれだしたのは理不尽だ。

世界平和統一家庭連合 土浦家庭教会HPより