日本でもフィクサーの笹川良一が窓口になり、岸信介元首相の知遇を得たり、立正佼成会の庭野日敬会長から幹部となる人材の派遣を受けたりした。70年代には、大学生を戦闘的な信者にする「原理研究会」によるスカウトが問題になった。

信者になると、教団への勧誘や新聞編集、物販(場合によっては霊感商法)、街頭募金をさせられ、家族との断絶を生じさせることも多かった。この手法は、宗教などで珍しいことではないが、意図を隠して巧妙に近づき、一度参加すると脱出しにくくする巧みさにおいて、群を抜いていたので、我々の世代は、親などから絶対に近づかないようにといわれたものだ。

そして、「国際勝共連合」を別途結成し、こちらには教団外の保守・中道(現在は国民民主党の中核になっている民社党系を含む)の政治家や知識人も多く参加したこともあって、学園紛争の時代に左翼の対抗勢力として頼りにもされた。

保守系のジャーナリズムもSNSもなかった時代で、共産主義に都合が悪いニュースは報道されにくかったということもあり、この団体が宣伝した共産主義の暗黒部分は、それなりに重宝された。

ただ、勝共連合の活動を通じてのつながりをテコに布教をすることがあり、右翼団体の幹部が親族を勧誘されたことに激怒して教団に怒鳴り込んだという逸話もある。

旧統一教会はビジネスにも熱心で、韓国では財閥化している。韓流ドラマ『冬のソナタ』の舞台となった龍平リゾート・スキー場も旧統一教会の経営らしい。報道・メディアの世界にも手を伸ばし、世界有数の通信社だったUPI通信社を買収し、共和党の政治家が朝一番に読むといわれる『ワシントン・タイムズ』を創立した。韓国や日本でも出されている『世界日報』のアメリカ版である。

アメリカでは寿司店のチェーンを経営しているほか、鮮魚卸事業では高級寿司店への魚介類の供給の8割を握っているといわれ、米国での寿司ブームの立役者でもある。