この期間の死亡数と比較して、VAERSへ報告された事例の割合は、接種後7日以内で10.4%、42日以内では2.8%であった。筆者も以前に、接種後10日間における全死亡に対する副反応疑い報告制度に報告された死亡数の割合を推定したことがあるが2.3%であった。

新型コロナワクチン接種後の死亡例は漏れなく報告されているか?

新型コロナワクチン接種後の死亡例は漏れなく報告されているか?
わが国における新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡報告数は、昨年2月17日から今年の5月27日までの1年3ヶ月間に、1,725件に達している。ワクチンの安全性評価や接種の是非を判断する目的で副反応疑い報告制度が存在するが、1,72...

最近、いくつかの自治体が、コロナワクチン接種後死亡事例に関するデータを開示した。開示されたデータには、死亡事例の年齢、性別、ワクチン接種日、死亡日、ロット番号が含まれている。副反応疑い報告例が記載されている厚生科学審議会の資料にも、死亡事例の年齢、性別、ワクチン接種日、死亡日、ロット番号が含まれているので、両者の照合がほぼ可能と考えられる。

そこで、浜松市、春日井市から報告されたワクチン接種後死亡事例のうち、厚生科学審議会の資料に記載されている事例の割合を検討した。

浜松市でワクチン接種開始から2021年12月末までに、70歳以上の高齢者でワクチン接種後に死亡したのは2,872人であったが、そのうち、審議会資料に記載されていたのは9人(0.3%)であった。春日井市における検討でも、同期間のワクチン接種後の死亡総数は、1,027人であったが、審議会資料に記載があったのは1人(0.1%)のみであった。

図1には、コロナワクチン接種から死亡までの日数を示す。副反応疑い報告例では、ワクチン接種後2週間までに集中していたが、春日井市の死亡登録では、このような傾向は見られず、接種後1〜2ヶ月をピークに、半年後まで死亡登録は継続していた。接種直後の死亡は、ワクチン接種との関連が疑われるが、時間が経過するほどワクチン接種との関連は疑われず報告されにくいという報告バイアスを反映した結果と考えられる。