またレアメタル(そのうちの希土類を指すレアアースを含む)に関する分析も興味深い。即ち、現時点でレアメタルが本格的な規模で採掘されている実例は乏しい上、使われている資源マップはソ連時代の地質調査に基づく古くて大まかな地図であり、商業開発を進めるためには資金を投じてより本格的な探査や試掘を行うことが必要となるはずだ、というのである。

また、レアアースのスカンジウムが中部のジトーミル州などに分布しているようだが、埋蔵量は国家機密だ。セリウムは中部ポルタヴァ州で埋蔵が、イットリウム、ネオジム、ジスプロシウムなどもあることが知られているが、レアアース資源の33%は、ロシア占領地域に所在するという。レアメタルのリチウムも欧州最大の資源量とされるが、これも中部のキロボフラード州はともかく、東部のザポリージャ州、ドネツク州の鉱床はロシアの占領下にあるとする。

同教授は論考を「米国側が実際にウクライナの資源状況を精査すれば、実は目ぼしいものはなく、トランプが主張する5000億ドル回収など夢物語であることが明らかになるのではないか。鳴り物入りで調印したとしても、実際の成果は挙がらず、本件はフェイドアウトしていく気がしてならない」と結んでいる。

だが、仮に同教授のいう通りになったとしても、それは米国にとっては何の損もない「デール」なのである。ましてや前述のようにゼレンスキー自身が「有償の支援であっても、今日にでも受け入れる」と述べていたのだし、自前の資源が自国の復興に活用できるなら、ウクライナにとっても損はなく、いわば一種の「居残り佐平治」といえる。

さて、トランプがなぜこれほどレアアース・レアアースや石化資源に拘るかといえば、それは対中国政策だからだ。グリーンランドの一件もパナマ運河と同様に地政学的な対中国対策であると同時に、グリーンランドの有望な地下資源も目当てなのである。付け加えれば金正恩との関係維持も北朝鮮の地下資源が視野にあるのかも知れぬ。

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