トランプ大統領は、「私はウクライナを愛しているが、ゼレンスキーはひどい仕事をした」とも書いていた。ウクライナを愛するがゆえに戦争を止めようとしているが、その障害になっているのがゼレンスキー大統領だ、という主張である。
この認識も、必ずしも明白に間違っているとまでは言えない。なぜならゼレンスキー大統領は、極めて頑な戦争継続にこだわる立場をとっており、明らかにトランプ大統領の停戦斡旋の障害になっているからである。
そこでトランプ大統領としては、強烈な圧力でゼレンスキー大統領に停戦を受け入れさせるのでなければ、ゼレンスキー大統領ではない人物と停戦交渉をする可能性を考えるしかない。
前者の圧力の方向の試みとして、トランプ大統領は、ウクライナへの援助を止めた。そして、これまでのウクライナ支援への見返りとして、ウクライナ領内のレアアースをアメリカに譲渡せよ、といった要求を行った。これに対してゼレンスキー大統領は、当初は、投資なら歓迎だといった話のすり替えをしていたが、やがてそのような誤魔化しがきかないことがわかったため、拒絶をする宣言をした。
今回のSNSは、その直後に、ルビオ国務長官率いるアメリカの代表団と、ラブロフ外相率いるロシアの代表団が、サウジアラビアで会談をしたところで、発せられたものだ。その意図は明確だろう。アメリカの停戦努力に協力しないのであれば、アメリカはゼレンスキー大統領以外の人物と交渉したい、ということだ。
トランプ大統領もロシアのプーチン大統領も、選挙を済ませたばかりで、任期をだいぶ残している。これに対して、ゼレンスキー大統領は、本来は大統領に任期を切らしたところだ。そこでウクライナが選挙を実施してくれれば、アメリカの支援なしで領土を失い続けるしかない戦争を続けるか、停戦に応じるか、をめぐる国民の判断がなされることになる。
ところがゼレンスキー大統領は、戒厳令を理由にして選挙を延期し続ける立場を変えるつもりがない。これでは戦争が続く限り、ゼレンスキー大統領の交代はなく、ゼレンスキー大統領の交代がないために、永遠に戦争が続くことになる。選挙がなければ、ウクライナ国民はたとえアメリカの支援がなくても戦争を継続することを望み続けている、という前提から抜け出る機会を見出すことができない。