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2年前の記事「現代日本人は縄文人の直系の子孫なのか?」では、約7000年前に縄文人が海を渡り、当時は無人だった朝鮮半島に上陸し、そのまま定住したという大胆な仮説を提示しました。

古代史サイエンス:現代日本人は縄文人の直系の子孫なのか? --- 金澤 正由樹
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この一見奇抜なストーリーは、2022年以降になると、韓国人研究者も含めた多くの研究によって実証されつつあります。

一例として、2023年に発表された韓国人による論文では、東日本の縄文人が西日本に移動し、さらにその後、朝鮮半島南岸や宮古諸島に移動したという可能性が示されているのです(図1)。

図1 韓国人研究者による論文(2023年)

朝鮮半島は7000年前まで無人だった

本当に朝鮮半島は約7000年前まで無人だったのか。これについても、2022年に発表された韓国人の論文によれば、約2万年前に氷河期が終わり、それまでの朝鮮半島の住民は北に移動し、7000~8000年前ぐらいまで事実上無人となったとされます。

不思議なことに、なぜかこの後には人口が急増しているのです(図2)

※ この論文によれば、人口増が始まったのは約8200年前とされるが、これは人間と動物のデータを取り違えたことによるミス。私がデータを補正した結果では、この時期は約7000年前となる(詳細は拙著を参照)。

図2 韓国人研究者による論文(2022年)

この人口増は朝鮮半島のどこで起きたのか。これについては、同じ論文に地図が示されており、場所はすべて日本寄りの海岸でした(図3)。