「開戦」の方式は、
当該国家の交戦権の適法の発動に由るを要すること論を俟たない。その権能の本源如何は国内憲法上の問題に係り、国際法の管轄以外に属する。
つまり信夫ら戦中の戦時国際法の解説者らは、自らが解説している戦時国際法に根拠がない「交戦権」を、大日本帝国憲法という国内法に規定された「統帥権」概念だけで、正当化しようとしていた。
こんなことを許したら、真珠湾攻撃も、日本の国内法だけを根拠にして、合法になってしまう。そこで連合国は、念のため、幽霊である「交戦権」について、「これを認めない」と国内法で宣言させることによって、戦中の信夫ら大日本帝国時代の学者の議論が復活するのを防ごうとした(篠田英朗『はじめての憲法』(ちくまプリマー)、篠田英朗『憲法学の病』などを参照)。
「交戦権」概念は、石破氏の苦闘にもかかわらず、集団的自衛権と集団安全保障の違いといった話とは、全く関係がないのである。
現代の安全保障政策は、的外れな憲法解釈論争に振り回されることなく、現実をふまえて、進めていくべきである。
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