「【越境攻撃を「挑発」と形容】自国領土占領の“失態”にプーチンの不自然な言葉選び、国民より占領拡大を優先する冷徹戦略も」という記事を例に取ろう。

【越境攻撃を「挑発」と形容】自国領土占領の“失態”にプーチンの不自然な言葉選び、国民より占領拡大を優先する冷徹戦略も(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース
 しかし、クルスクの置かれた状況は、決して甘いものではない。ウクライナ軍がクルスクに進軍した事実が明らかになったのは8月7日のことだが、ゲラシモフ参謀総長は当初、約1000人の兵士が越境攻撃をしかけ

ここではクルスク侵攻作戦で動揺しているはずのプーチンは、しかし冷静さを装っている、と描写される。強気の姿勢を見せるため、クルスク州の住民を一刻も早く救い出す作戦を優先させない。東部戦線で戦闘を優位に進めながら、クルスク州でのウクライナ軍に対応している。これは「国民より占領拡大を優先する」邪悪なプーチン大統領の本質が現れた行動だ、という論旨である。

ゼレンスキー大統領インスタグラムより

これはゼレンスキー大統領の姿勢にそった論旨だとも言える。ゼレンスキー大統領は、クルスク侵攻作戦開始後、しばしば「プーチンは自国民保護よりも占領拡大を優先させている」、と繰り返し述べている。

しかしこれは実はほとんど、「プーチンよ、ウクライナの期待通り、東部戦線の部隊をクルスク州に振り向けてくれないか」という懇願である。このような回りくどい懇願で、プーチン大統領が行動を決するはずはない。

期待通りにプーチン大統領が動かないため、「プーチンよ、お前のことを邪悪な奴だと思っていたが、そこまで本当に邪悪だとは思っていなかった、今からでも遅くない、自国民を保護するために、東部戦線の部隊を早くクルスクに回せ!」といったことを、ゼレンスキー大統領は言っている。そして日本の多数の論者たちも同調して、叫んでいる。