それでも、筆者は潜ることに決めました。水深が下がっていくにしたがって、高まる水圧にダイビングスーツがぎゅっとしめつけられます。そして見えてきた群生地。
「オオカワリギンチャクだ!」
近くで見ると本当に美しい。許された数分の間に、とにかくたくさんのシャッターを押して、その場を離れました。このダイビングはとても貴重な経験になりました。
数が減少した理由
しかし離れて見るとよくわかりますが、これを「群生地」と呼ぶには数が少ないと思いませんか。後からインターネットで過去のこの群生地の写真を見ました。
そこには2022年当時とは比べ物にならないほどびっしりと生えたオオカワリギンチャクの姿が。確かに“群生地”と呼ぶにふさわしい光景でした。岩礁に光るお花畑があるようでうっとりとするほどです。
なぜこんなに数が減少してしまったのか。
どうやらその希少性から、ここのオオカワリギンチャクたちは乱獲にあったそうです。実際にインターネットでも高額で販売されています。さらには、観察にきたダイバーたちに傷つけられてしまったことが、数が大幅に減少してしまった理由だそうです。
全国でも珍しい群生地が天然記念物に指定
この神秘的な光景を守ろうと、和歌山県は2015年1月にこの群生地を天然記念物として認定。全国でもイソギンチャクの群生地が天然記念物として指定されることはとても珍しいことです。そして実際に保護をされるようになりました。
私たちが潜る際も、傷をつけないように十分注意するよう指導を受けました。
最近では、愛媛県愛南町でオオカワリギンチャクの群生地が見つかったとの情報もあります。しかも、ここでは深さ24mの浅場で見られるようです。
あれ、深場に生息しているのでは……? 本当にまだまだ謎が多いです。
水族館の飼育員さんに聞いてみた
みなべ町のオオカワリギンチャクの群生地が元の姿に戻るのか、みなさんも気になりますよね。