前半14分にG大阪FW山下諒也のミドルシュートを浴び、湘南は1-1の同点とされたものの、良い攻撃配置から2ゴール目を挙げた。
湘南が自陣後方からパスを回した前半35分、同クラブDF髙橋直也(センターバック)がボールを運び、右サイドに立っていた奥野へパスを送る。その後G大阪最終ラインの背後へ走ったDF岡本拓也(右ウイングバック)が奥野のパスを受けると、ゴール前へクロスボールを供給。これにFW鈴木章斗が右足で合わせ、ゴールネットを揺らした。
ここではセンターバック髙橋とウイングバック岡本の間へ奥野がタイミング良く降りたことで、右サイドへのパスルートが開通。センターバックとウイングバックの距離が開きすぎることで、パス回しが困難になる場面が直近のリーグ戦で散見されたものの、この試合ではインサイドハーフ奥野の好判断から素晴らしいゴールが生まれた。
また、髙橋がボールを運ぶ直前には中盤の底の田中聡が最終ライン付近へ降りることで、G大阪MF山田康太を幻惑。キックオフ直後からトップ下の山田康太が田中聡に張り付き、湘南最終ラインからのパス回しを妨害していたが、田中が突如ここへ降りたためG大阪はハイプレスのかけ始めのタイミングを逸した。奥野と田中がこのゴールの起点と言えるだろう。
「『落ちなくていい』と監督から言われた」
試合後ミックスゾーンにて筆者の取材に応じた田中は、前述の立ち位置の意図を明かしてくれている。湘南の山口智監督から求められているプレーとは違ったようだが、田中の咄嗟の判断が2点目に繋がったのは確かだ。
ー湘南の2点目について伺います。山田康太選手が田中選手に張り付いていましたが、あの場面で田中選手が最終ラインに降りたことで、G大阪のハイプレスに迷いが生まれたように見受けられました。何を感じてあの立ち位置をとったのでしょうか。