つみたてNISAが始まり、資産運用の選択肢が広がった。その中で、高リターン実績を背景にひふみ投信の注目度が急上昇している。ひふみ投信とはどんな投資信託なのか。
目次
1.つみたてNISAでひふみ投信の注目度が上昇している
2.つみたてNISAで買えるひふみ投信の特徴やメリットを解説
3.NISAで買えるひふみシリーズの違い
4.「ひふみ投信」と「ひふみプラス」の違い
5.ひふみ投信の2つのデメリット
6.NISA口座でひふみ投信を始める方法
7.NISAでの投資の際はリスクとリターンのコントロールを
1.つみたてNISAでひふみ投信の注目度が上昇している
2018年1月につみたてNISAが始まり、効率的な資産運用の選択肢が増えた。制度面で追い風が吹く中、「ひふみ投信」という投資信託の注目度が上がっている。
ひふみ投信の受益権総口数(投資家に保有されている口数の合計)は、2017年2月~2018年2月の1年間で一気に倍増した。2018年終盤の株式相場急落を受けて伸びは多少鈍化したものの、2019年2月末までに口数はさらに1割増加して約288億口になった。2019年2月以前の10年間で見ると、100倍以上に増えたことになる。2020年2月以降、口数が減少してはいるが、10月末時点で約235億口だ。
伸びているのは口数だけではない。2016年12月末の純資産総額は363億円であったが、2020年11月12日時点で1,300億円を超える純資産総額を誇る。
2.つみたてNISA(積立NISA)で買えるひふみ投信の特徴やメリットを解説
ひふみ投信は、レオス・キャピタルワークスが運用するアクティブ型の投資信託である。ファンドマネージャーの藤野英人氏は米ゴールドマン・サックス系運用会社での勤務経歴もあり、「カリスマファンドマネージャー」とも称される。
投資先は主に日本の成長企業の株式であり、業種としては情報・通信業や電気機器、サービス業などが上位になっている(2020年10月末時点)。ひふみ投信の特徴を5点紹介しよう。
優れた運用実績
ひふみ投信の特徴は何と言っても優れた運用実績だろう。ひふみ投信を語る上で、運用実績の話は欠かせない重要なキーワードである。
2020年11月12日時点での基準価額は5万7,724円であり、運用を開始した2008年10月からの12年で5.5倍超の運用実績を残している。
運用開始以降、年間リターンがベンチマークであるTOPIXを下回ったのは、2018年の1年のみだ。その他の年は全てTOPIXを上回るリターンを残しており、年間を通じてパフォーマンスがマイナスとなったのも2011年と2018年の2年のみである。アクティブファンドとしての役割を十二分に果たしている優秀なファンドと言えるだろう。
こうしたパフォーマンスの背景にあるのが、徹底した銘柄分析を基礎とするボトムアップアプローチである。運用会社のレオス・キャピタルワークスは机上の企業分析だけでなく、経営者との対話や企業訪問を通じた情報も投資判断に活用すると公言しており、こだわりが強い。
組入銘柄を見ても、首位はインフラの補修・補強を手掛けるショーボンドホールディングス<1414>、2位はZホールディングス<4689>、3位はソニー<6758>と、TOPIXや日経平均株価の上位銘柄とは異なる顔ぶれが並ぶ(2020年10月末時点)。こうした独自の銘柄選定に支えられた高パフォーマンスがひふみ投信の大きな特徴なのだ。
低コスト
ひふみ投信はコストへのこだわりのある投資信託だ。投資信託にかかるコストには販売手数料・信託報酬・信託財産留保額の3つがある。ひふみ投信の場合、購入時手数料と信託財産留保額がかからない。信託報酬はアクティブファンドでありながら年1.0780%(税込)と安心感がある。
長期投資に向けたファンド設計
ひふみ投信では、5年以上保有した場合に、信託報酬の一部を新規購入資金として還元する制度がある。5年以上保有した場合、信託報酬の0.2%、10年以上だと信託報酬の0.4%が還元される。
長期保有を前提に信託報酬を還元する仕組みは日本で初めて導入されたものであり、長期投資が前提となるつみたてNISAとも相性の良いファンド設計だ。
投資家との活発なコミュニケーション
投資家とのコミュニケーションの場を多く設けて透明性の高い運用を心掛けている点もひふみ投信の特徴だ。毎月1回、ファンドマネージャーやアナリスト自らが市場動向を説明するセミナーを開催し、他にも投資先企業への訪問イベントなども行っている。
3.NISA口座で買えるひふみシリーズの違い——ひふみ投信、ひふみプラス、ひふみワールド、ひふみワールド+
レオス・キャピタルワークスが運用している「ひふみ」の名を冠する投資信託はひふみ投信だけではない。ひふみシリーズのうち、NISA、つみたてNISAで購入できるものは次の4つだ。
- ひふみ投信
- ひふみプラス
- ひふみワールド
- ひふみワールド+
これら4つの違いを簡単に示したものが次の表である。
主な投資対象 | つみたてNISA | NISA | 購入場所 | |
ひふみ投信 | 国内株式 | 〇 | 〇 | レオス・キャピタルワークス (直販) |
ひふみプラス | 国内株式 | 〇 | 〇 | 各販売会社 |
ひふみワールド | 海外株式 | × | 〇 | レオス・キャピタルワークス (直販) |
ひふみワールド+ | 海外株式 | × | 〇 | 各販売会社 |
ひふみシリーズの投資信託は、個別銘柄の分析を重視したボトムアップアプローチを特徴とするアクティブファンドである。国内株式を対象とするものが「ひふみ投信」と「ひふみプラス」、海外株式を対象とするものが「ひふみワールド」と「ひふみワールド+」だ。
運用会社であるレオス・キャピタルワークスでのみ購入できるのが「ひふみ投信」と「ひふみワールド」であり、販売会社を通じて購入できるのが「ひふみプラス」と「ひふみワールド+」である。
このように、投資対象と購入場所の違いにより、ひふみシリーズは4種類に分類される。なお、「ひふみワールド」と「ひふみワールド+」においては、つみたてNISAの対象ではない(2020年11月時点)。
4.つみたてNISA(積立NISA)で買える「ひふみ投信」と「ひふみプラス」を比較
つみたてNISAで買えるのは国内株式へ投資をする「ひふみ投信」と「ひふみプラス」だ。ひふみ投信とひふみプラスは同じマザーファンドへ投資を行っているため、投資信託の中身は同じであり、姉妹ファンドと言える。しかし、違いもいくつかあるため、まずはその違いを認識しておきたい。
「ひふみ投信」と「ひふみプラス」の購入場所の違い
先程説明したように、「ひふみ投信」はレオス・キャピタルワークスでのみ購入できる一方、「ひふみプラス」は各販売会社で購入する。「ひふみ投信」を購入する場合、レオス・キャピタルワークスへ口座開設を行う必要がある。一方、「ひふみプラス」であれば、取扱いのある銀行や証券会社などの販売会社で購入できる。
「ひふみ投信」と「ひふみプラス」の信託報酬割引制度の違い
「ひふみ投信」と「ひふみプラス」の信託報酬は共に年1.0780%(税込)だ。しかし、それぞれ信託報酬の割引制度があり、その内容が異なる。
「ひふみ投信」は保有期間において、信託報酬が割引(還元)になる。保有から5年を経過すると年0.2%、10年以上で年0.4%の割合で新規購入資金として信託報酬が還元される。
「ひふみプラス」の場合は、純資産総額で信託報酬が割り引かれる。純資産総額が500億円を超える部分の信託報酬率は年0.9680%(税込)、1,000億円を超える部分は0.8580%(税込)になる。
「ひふみ投信」と「ひふみプラス」の購入時手数料の違い
購入時手数料とは、投資信託を購入する際に販売会社に支払う手数料のことだ。
「ひふみ投信」は購入時手数料がかからず、その旨は目論見書に明記されている。
一方の「ひふみプラス」は、最大で3.30%(税込)の購入時手数料がかかると目論見書に記されている。もちろん、これは購入時手数料の上限であり、購入時手数料を無料にしている販売会社も多い。また、つみたてNISA利用時での購入であれば、全て無料になる。しかし、販売会社の中には一般NISAや通常購入時に購入時手数料を徴収しているケースもあるため、購入時には必ず確認が必要だ。
5.ひふみ投信の2つのデメリット
ひふみ投信のデメリットについても触れておこう。
インデックスファンドに比べて信託報酬が高め
ひふみ投信はアクティブファンドであるため、NISAやつみたてNISAで人気のあるインデックスファンドと比べると信託報酬が高い。銘柄選定を含めた運用に高いコストがかかるためだ。
ひふみ投信の信託報酬はアクティブファンドの中で比べれば決して高い水準ではない。コストを上回るパフォーマンスを残している優良なアクティブファンドでもある。しかし、インデックスファンドと比べる場合、信託報酬が高くなり、常にそれを上回るパフォーマンスが必要になる点は理解が必要だ。
レオス・キャピタルワークスでの口座開設が必要
ひふみ投信を購入する場合、レオス・キャピタルワークスでの口座開設が必要になる。ひふみ投信は運用会社であるレオス・キャピタルワークスの直販のみが購入窓口であるためだ。
NISAやつみたてNISAでひふみ投信を購入する場合、レオス・キャピタルワークスでNISA口座も開設する必要がある。しかし、レオス・キャピタルワークスはひふみシリーズ以外の商品を取り扱っていないため、他の投資信託との分散投資がNISA内でできなくなる点には注意したい。
なお、販売会社を通じてひふみプラスを購入すれば、この問題は解決するが、その場合、ひふみ投信の持つ保有期間に応じた信託報酬の還元制度が活用できない。
6.NISA口座でひふみ投信を始める方法
NISAでひふみ投信を始める方法を説明しよう。
レオス・キャピタルワークスで口座開設してひふみ投信を購入する
まずは、レオス・キャピタルワークスで口座開設して購入するケースだ。
レオス・キャピタルワークスで口座開設を行うには、次の3つの書類を用意する必要がある。
- 通帳など銀行口座番号がわかるもの
- マイナンバー確認書類
- 運転免許証などの本人確認書類
これら3つを準備すれば、WEBで口座開設が可能である。レオス・キャピタルワークスのホームページより口座開設フォームに必要事項を入力するだけだ。最後にマイナンバー確認書類と本人確認書類を画像データとしてアップロードすればよい。後日、簡易書留で口座開設通知書が送られてくれば、口座開設完了になる。
NISAやつみたてNISAでひふみ投信を購入する場合には、上記のほかにNISA口座の開設手続きも必要だ。口座開設完了後に「非課税口座開設届出書」や「本人確認書類」等をレオス・キャピタルワークスへ郵送する必要がある。
NISA口座の開設はWEBでは行えない点には注意したい。また、他社で既にNISA口座を開設している場合には、他社から交付された「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」も必要となる。
各金融機関でひふみプラスを購入する
NISAでひふみ投信だけでなく、様々な銘柄に投資したい場合や、既にNISA口座を保有しており、NISA口座の変更を行いたくない場合には、取扱いのある販売会社でひふみプラスを購入するのがよいだろう。
NIAS口座の開設方法は基本的にどの金融機関でも同じである。ひふみプラスの取扱いのある販売会社はレオス・キャピタルワークスのホームページで確認ができるので、使いやすい金融機関でひふみプラスを始めてみよう。
7.NISAやつみたてNISA(積立NISA)での投資の際はリスクとリターンのコントロールを
投資とは不確実なものであるため、過去のパフォーマンスが良くても、将来のパフォーマンスが約束されているものではない。
特にひふみ投信はアクティブファンドであり、基本的にはハイリスク・ハイリターンな商品だ。過去のパフォーマンスだけを見て、今後も上がり続けると考えるのではなく、リスクのある商品であると認識した上で投資を行おう。
特にNISAやつみたてNISAは、資産形成を目的として始める人がほとんどのはずだ。ひふみ投信は魅力的なファンドであるが、ポートフォリオ全体でリスクとリターンのバランスが取れているかの判断を必ず行うようにしたい。
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