健康保険が使えず医療費が高くつきやすい海外に旅行へ行く際には、海外旅行傷害保険への加入は必須といってもいい。保険付帯のクレジットカード、できれば、補償内容がより充実したゴールドカードで万全の備えをしておきたい。代表的な5つのカードを紹介しよう。
海外旅行傷害保険のスペックを判断する3つのポイント
クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険のスペックはその補償金額だけでは判断できない。その保険がいざという時に本当に頼りになるかどうかは、次の3点にかかっている。
ポイント1 保険が自動付帯される
クレジットカードに付帯する旅行傷害保険には「利用付帯」と「自動付帯」がある。前者はクレジット決済で旅行費用を支払った時にだけ保険が適用されるのに対し、後者はカードを所持しているだけで保険が適用される。
そして、保険付帯のカードを複数持っている場合、治療に関する補償金の最高額は各カードのものが合算されるため、自動付帯のカードが複数あれば、その分だけ補償金額を上積みできる。
たとえば、カードA(利用付帯・最高補償額300万円)、カードB(自動付帯・最高補償額300万円)、カードC(自動付帯・最高補償額500万円)という3枚のカードを所持していたとする。
利用付帯のカードAで旅行代金を支払った場合、治療費用に対する最高補償額は3枚分を合計した1,100万円となる。このように、自動付帯のカードを所持していると、それだけで補償金額がアップすることになるため、そのメリットは非常に大きい。
ポイント2 家族特約が付いている
家族特約とは旅行に同行する家族の分まで保険が適用されるもの。ゴールドグレード以上のカードには家族特約がつくものが多いが、配偶者や両親は特約対象外となる保険もあるので、特約の適用範囲には注意したい。
なお、家族特約の対象外であっても、家族カード会員の対象になるのであれば、家族カードを作ってその付帯保険を利用できる。
ポイント3 キャッシュレス診療に対応している
キャッシュレス診療とは指定の病院を利用することで治療費を支払わずに治療を受けられる仕組みのことだ。海外では一度に数百万円の治療費がかかることもあるので、保険料が後払いでは治療自体を受けられないケースが生じる可能性もある。
そこで、キャッシュレス診療への対応は必須といってもいいだろう。
現在、多くのカード付帯保険がキャッシュレス診療に対応しているが、1つ注意したいのは、家族特約がついている場合でも、キャッシュレス診療は本人にしか適用されない保険があることだ。
【人気のゴールドカードを比較】
カード名 | dカードGOLD | 楽天ゴールド | 三井住友カード ゴールド | JCBゴールド | セゾンゴールド・アメリカン ・エキスプレス・カード |
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デザイン | |||||
年会費 | 11,000円 | 2,200円 | 11,000円 ※初年度無料 |
11,000円 ※初年度無料 |
11,000円 ※初年度無料 |
通常還元率 | 1.0% | 1.0% | 0.5% | 0.5% | 0.75% |
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海外旅行傷害保険で選ぶならこの5枚
3つのポイントを押さえつつ、海外旅行傷害保険が充実した代表的な5つのゴールドカードを比較してみよう。
本会員の補償内容 | 家族特約対象者の補償内容 | 家族カード会員の補償内容 | キャッシュレス診療の対象 | |
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三井住友カード ゴールド (年会費1万円・税別 /初年度年会費無料・年会費割引あり /家族会員年会費1,000円・税別) |
傷害死亡・後遺障害最高5,000万円 (自動付帯分1,000万円・利用付帯分4,000万円)、 傷害・疾病最高300万円 |
傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病最高200万円 | 本会員に同じ | 本会員・家族カード会員 |
JCBゴールド (年会費1万円・税別 /初年度年会費無料/家族会員年会費1,000円・税別/1人分無料) |
傷害死亡・後遺障害最高1億円(利用付帯) /5,000万円(自動付帯)、 傷害・疾病最高300万円 |
傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病最高200万円 | 本会員に同じ | 本会員・家族カード会員 |
アメックス・ゴールド (年会費2万9,000円・税別 /家族会員年会費1万2,000円・ 税別/1人分無料) |
傷害死亡・後遺障害最高1億円(利用付帯) /5,000万円(自動付帯)、傷害・疾病最高300万円(利用付帯) /200万円(自動付帯) |
傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病最高200万円 | 保険適用は利用付帯のみ。 傷害死亡・後遺障害最高5,000万円、傷害・疾病最高300万円 |
本会員・家族会員・家族特約対象者 |
セゾンゴールド・アメックス (年会費1万円・税別 /家族会員年 会費1,000円・税別) |
傷害死亡・後遺障害最高5,000万円、傷害・疾病最高300万円(自動付帯) | 傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病最高300万円 | 本会員に同じ | 本会員・家族会員・家族特約対象者 |
ミライノ カード GOLD (年会費3,000円・税別 /年会費無料化可能) |
傷害死亡・後遺障害最高5,000万円、傷害・疾病最高500万円(自動付帯) | 傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病最高250万円 | 家族カードなし | 本会員・家族特約対象者 |
次に、それぞれのカードの付帯保険の特徴を解説する。
三井住友カード ゴールド
海外旅行傷害保険は最高5,000万円(傷害死亡・後遺障害)だ。そのうち自動付帯となるのは1,000万円分で、4,000万円分は利用付帯となる。傷害・疾病の治療費用の補償限度額は300万円だ。
家族特約は「本会員と生計を共にする19歳未満の同居の親族・19歳未満の別居の未婚の子」に適用され、補償金額は傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病の治療費用最高200万円。なお、家族カード会員は本会員と同様の補償内容となる。
キャッシュレス診療は本会員・家族カード会員のみ利用可能で、家族特約対象者は利用できない。
年会費は1万円(税別)だが、ネットからの申し込みで初年度無料となるほか、年会費割引制度もある。家族カードは年会費1,000円(税別)で発行可能となっている。
>>>「三井住友カード ゴールド」の詳細を見る(公式サイトへ)
JCBゴールド
海外旅行傷害保険は利用付帯で最高1億円(傷害死亡・後遺障害)、自動付帯で最高5,000万円だ。傷害・疾病の治療費用については補償限度額300万円となる。
家族特約は「本会員と生計を共にする家族で満19歳未満の子」に適用され、補償金額は傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病の治療費用最高200万円だ。なお、家族カード会員は本会員と同様の補償内容となる。
キャッシュレス診療は本会員・家族会員のみ利用可能で、家族特約対象者は利用できない。
年会費は1万円(税別)だが、ネットからの申し込みで初年度無料となる。家族カードは1人分無料で、2人目から年会費1,000円(税別)で発行可能だ。本会員が年会費無料の場合、家族カード会員も無料となる。
アメックス・ゴールド(アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード)
海外旅行傷害保険は利用付帯で最高1億円(傷害死亡・後遺障害)、自動付帯で最高5,000万円だ。傷害・疾病の治療費用については利用付帯で補償限度額300万円、自動付帯で最高200万円となる。
家族特約は「カード会員(家族カード会員を含む)の配偶者、カード会員と生計を共にする子・両親などの親族」に適用され、補償金額は傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病の治療費用最高200万円だ。
なお、家族カード会員は利用付帯のみとなり、傷害死亡・後遺障害最高5,000万円、傷害・疾病の治療費用最高300万円の補償内容となる。キャッシュレス診療は本会員・家族会員のほか、家族特約対象者も利用できる。
年会費は2万9,000円(税別)で、家族カードは1人分無料、2人目から年会費1万2,000円(税別)で発行可能となる。
>>>「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」の詳細を見る(公式サイトへ)
セゾンゴールド・アメックス(セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード)
海外旅行傷害保険は自動付帯となり、最高5,000万円(傷害死亡・後遺障害)、傷害・疾病の治療費用については補償限度額300万円だ。
家族特約は「本会員の配偶者、本会員またはその配偶者と生計をともにする同居の親族や別居の未婚の子」に適用され、補償金額は傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病の治療費用最高300万円となる。家族カード会員は本会員と同様の補償を受けられる。
また、キャッシュレス診療は本会員・家族会員のほか、家族特約対象者も利用できる。
年会費は1万円(税別)で初年度は無料、家族カードは1,000円(税別)で発行可能だ。
>>>「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」の詳細を見る(公式サイトへ)
ミライノ カード GOLD
海外旅行傷害保険は自動付帯となり、最高5,000万円(傷害死亡・後遺障害)、傷害・疾病の治療費用については補償限度額500万円だ。
家族特約は「本会員の配偶者、本会員またはその配偶者と生計をともにする同居の親族や別居の未婚の子」に適用され、補償金額は傷害死亡・後遺障害最高1,000万円、傷害・疾病の治療費用最高250万円となる。
また、キャッシュレス診療は本会員のほか、家族特約対象者も利用できる。
年会費は3,000円(税別)で、年間100万円以上の利用で次年度の年会費が無料となる。国際カードブランドはJCB。家族カードの発行はしていない。
最も重要なポイントは家族特約
海外旅行傷害保険を重視してカードを選ぶ場合、一番のポイントとなるのは、やはり、家族特約の部分だろう。
家族の補償に関しては家族カードでも対処できるが、クレジットカードを持てない年齢の子どもがいる場合は、家族特約対象者までキャッシュレス診療を受けられるカードにしたい。
それ以外は年会費と補償金額のつり合いを検討してカードを選ぶとよいだろう。
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
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