クレジットカードが本人以外に無断で使われることを不正使用という。では、家族や知人に無断で使われた場合はどうなるのか。その場合の補償の有無、使用した者が罪に問われるのか否か、またそういった事態を防止する方法について説明する。
クレジットカードの紛失や盗難があった場合の対応
クレジットカードの紛失や盗難にあった場合、いったいどうすればいいのだろうか。しなければならない対応と、補償がされない状況について解説しよう。
連絡をすれば不正使用分は補償される
紛失・盗難にあったクレジットカードを他人に不正使用された場合、カード会社の盗難保険によってその不正使用分については支払いが免除される。また、カード番号の盗用による不正使用分についても、同様の補償が適用されることが多い。
現金を持ち歩くよりもクレジットカードのほうが安心といわれるのはそのためで、多くはカード会社に紛失や盗難の連絡をした日の60日前までの不正使用分について補償される。なお、紛失・盗難の連絡をした時点でそのクレジットカードは無効となるので、それ以降は不正使用のリスクはない。
なお、盗難保険の適用を受けるにはカード会社への連絡だけでなく、最寄りの警察署の落とし物窓口などに紛失届や盗難届を提出し、届出をした証明書などを受け取っておかなければならない。これは海外での盗難・紛失でも同じで、現地の警察署に盗難届や紛失届を提出し、その受領を証明する書類などを取得してカード会社に提示することになる。
補償されない場合も
ただし、カード会員側に不正利用につながるような重大な過失がある場合は、盗難保険が適用されないこともある。たとえば、次のようなケースがそれにあたる。
- カード裏面の署名欄に署名をしていない
- 暗証番号を書いたメモをカードと一緒にしている、あるいはカード自体に暗証番号をメモしている
- 生年月日、自宅住所の番地、電話番号、車のナンバー、4桁の同じ数字……など他人から容易に推測されやすい暗証番号を設定している
- 自分以外にカードの保管場所や暗証番号を知っている人がいる
他人が容易にカードを持ち出せるような保管の仕方をしている
カード会員側のこれらの過失は不正使用を容易にするため、このいずれかに該当する場合は盗難保険が適用されない可能性がある。つまり、不正利用分もすべて自分が支払うことになってしまうのだ。
本人以外の家族がクレジットカードを無断で使用していたときはどうなるのか?
カード会社からの利用明細書などで身に覚えのない使用に気づき、調べてみると家族が無断でカードを使っていた……というケースはどうなるだろうか。
そもそも盗難保険の適用を受けるには警察への届出が必要だが、そうなるとカードを無断使用した家族が窃盗罪に問われるかもしれない。またカードを利用したショップから、その家族が詐欺罪で訴えられる可能性もある。虚偽によって利益を得ると、詐欺罪が成立するからだ。刑法246条に詐欺罪は10年以下の懲役、とある。
なお、刑法244条により家族や親族間の窃盗罪に関しては、被害届を出さない限り刑罰は免除されるため、家族の無断使用があったとしても家族内の問題として表沙汰にしない家庭がほとんどだろう。しかし、上記のような危険があることは覚えておきたい。
本人の合意があってもNGという最高裁の判例も
では、カード会員自身が合意して家族などに使わせた場合はどうなるのだろうか。たとえば、夫が1人で働いて家計を支えているようなケースでは、すべての支払いの源泉は夫の収入なので、夫の同意があれば夫名義のクレジットカードを妻や子どもが使っても問題ないように思えるかもしれない。
しかし、クレジットカードはあくまでもカード会社が会員本人に貸与しているものであり、規約により本人以外は使用できず、貸したり、譲ったり、担保にしたりすることもできない。
そのため、たとえ生計を一にする家族であり、カード会員自身の同意があっても、名義人以外がカードを使うと規約違反となり、強制退会となる可能性もある。
また、たとえカード会員本人の合意があったとしても、その本人以外の者がカードを使うと詐欺罪にあたるという最高裁の判例もある。
家族カードやデビットカードという選択肢の検討を
家族にクレジットカードを使わせたいなら、その家族の名義で家族カードを作ればいい。家族に収入がなくても、本会員に収入があれば作ることができる。
未成年の子どもなら、クレジットカードの国際ブランドがついた銀行デビットカードを作る方法もある。たとえば、三菱UFJデビットカードなら本人名義の銀行口座が同行にあれば15歳(中学生を除く)から作れるので、修学旅行先が海外でクレジットカードを持たせたい場合などでも利用できる。
日頃クレジットカードを気軽に使っている人は多いだろう。だが、紛失や盗難にあってしまった時や、家族と共有したい時は、利用規約をしっかり確認して、正しい使い方を心がけたい。
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執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
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