ゼルディン長官は、バイデン政権がトランプ政権誕生前に急いでお金(『金の延べ棒』)を意図的に流出させていたとして、厳しく追及する姿勢を明確にしている※41)

動画に登場したEPA職員(当時)は次のようにも述べていた:

(金の延べ棒は)非営利団体、州、部族に出している。なぜなら、トランプが大統領に就任したら、政府系のプログラムだと回収されやすいけど、そうじゃないところの方が回収しにくいから。トランプが勝利した場合の保険みたいなものさ。共和党にお金を回収されないようにしている。

まともな感覚が完全に抜け落ちてしまって、罪悪感や恥といった人として持つべき感情がまるで感じられない言葉が並ぶ。常識を取り戻す運動は、そういう心や精神こそ重要かもしれない。

そしてゼルディン氏が調査を開始すると宣言した約1週間後(2/20)には、200億ドルのうち20億ドル(3000億円)が”Power Forward Communities”に流出していたことが判明※42)

同団体は、元民主党州知事候補ステイシー・エイブラムスとつながりのある非営利団体で、低所得者層コミュニティで家庭用電化製品をグリーンな代替品に交換する資金を提供することで「気候への影響を減らす」ことを目指している。

驚くことに補助金契約書には「20億ドルの分配を21日以内に済ませることと、『予算の立て方』と呼ばれる研修を90日間以内に完了させること」と書かれていたとゼルディン氏は明かす。既に手元のお金を分配してしまった後に、予算の立て方を学んでもどうしようもない。

前出のEPA職員の「とにかく急いで現金を外に放り出した」という主旨の話が、真実味を帯びてしまうと感じるエピソードである。

そもそも本件の予算は、バイデン政権だった2022年に米国インフレ削減法(Inflation Reduction Act)に基づいて創設されたGGRF(Greenhouse Gas Reduction Fund:温室効果ガス削減基金)の予算(270億ドル)から割り当てたものであり、2024年夏までに米国内の温室効果ガス排出を削減するプロジェクトに補助金を交付することになっていた※43)