一方で、「DOGEは我々の税金の使い道を知りたがっている。そして、我々はそうさせるべきだ」と語るのは、ハイチ地震の復興支援に携わってきた公立学校区の元CEOのポール・ヴァラス氏である。彼がそう明言するのは、現地で支援金の横領などを目の当たりにしてきたからだ。

NYポストの記事※47)で、ヴァラス氏は「USAIDが他のNGOとともに、いかに約束をほとんど果たさず、救援活動の調整を怠り、上前をはねるかさえ見てきた」と明かしている。具体的には、アメリカ政府が拠出した21億3000万ドルのハイチ関連の契約と助成金のうち、実際にハイチの組織や企業に支払われたのは5000万ドル以下、つまり2%だったと言うのだ。また、それに比べ、13億ドル(56%)はアメリカ首都やその近郊にある企業に支払われている、とも。

これが事実ならば、驚くべきことだが、前出のアーンスト上院議員が明らかにしたUSAIDの実態――「間接経費率が50%~60%。下請け業者のコストは含まれていない」に正に合致する内容だ。

米国民の7割が政府の拠出には不正などがあると信じているようだが、98%もの所謂「公金チューチュー」があったと知れば、流石に驚くのではなかろうか。

トランプ政権やDOGEのやり方に不満がある人も少なくないようだが、強硬な手段なくして、一体どうやったらこのような不正を暴き、繰り返させないようにできるのか、私には見当もつかない。漸進主義でやってきたのがまさにアーンスト氏の様な人だと思うが、それで埒が明かないのは明白である。

今後の調査次第で金額や割合に多少の誤差が出てくるかもしれないが、まずはDOGEにしっかりと調査をさせ、結果を公表することが国民に対する責務ではなかろうか。

杜撰な管理が明らかに

DOGEのXポスト(2/18)※48)によると、財務省アクセス・シンボル(Treasury Access Symbol:TAS)とは、財務省の支払いと予算項目(標準的な財務処理)とを結びつける識別コードであるが、連邦政府では、4兆7000億ドル(700兆円)の支払いにTAS欄への入力は任意で、しばしば空白のままであったため、トレーサビリティ(追跡)はほとんど不可能であったことを明かしている。