「若い頃は怖いもの知らずだったなぁ」──そんな思い出を語る大人は多いでしょう。
スピード違反、夜更かし、危険な恋愛。
現代の若者を見ても、「なんて無謀なんだ」と感じるかもしれません。
では、10代の若者が時に驚くほど無謀な行動をとる理由は、単なる未熟さだけで説明できるのでしょうか?
この問いに対して、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の神経科学チームが興味深い研究結果を報告しました。
2025年2月19日に『Nature Neuroscience』に掲載されたこの論文では、年齢によって変化する脳内の神経回路が、リスク回避行動の違いに強く関与していることが示されました。
彼らは、マウスの行動と脳の神経活動を詳細に観察することで、若い個体では「リスクを避けない脳の配線」が存在する可能性を突き止めたのです。
目次
- 若年マウスもリスクを好む!高齢マウスとは脳回路に違いがあると判明
- 若者が「危険な道」を選ぶのは悪いことなのか?──若者への正しい見方を考える
若年マウスもリスクを好む!高齢マウスとは脳回路に違いがあると判明

リスクを取る行動は、単なる性格や育ちの問題ではなく、脳の発達に由来するという考え方は近年広まりつつあります。
UCLAの研究チームは、この仮説を確かめるために、異なる年齢のマウスに対して「脅威の予測」と「報酬の選択」に関する課題を与えました。
具体的には、エサを食べている最中に不快な電気ショックを連想させるビープ音を鳴らすという実験です。
興味深いことに、若いマウスたちは音が鳴ってもできるだけ長くエサを食べ続けようとしました。
一方で、高齢のマウスは音が鳴るとすぐに行動を止め、ビープ音が止むのを待つという慎重な姿勢を見せました。
この違いが生まれるのはなぜでしょうか?
