時間が凍りついたかのように、長時間安定してリズムを刻む不思議な“時間結晶”。
ドイツのドルトムント工科大学(TU Dortmund)で行われた研究によって、この頑丈そうな時の結晶が、ある「階段」によってカオスと隣り合わせになる現象が見つかりました。
半導体スピンの中で生まれる繊細な振動――そこにごくわずかな外部刺激を与えると、“悪魔の階段”と呼ばれる階段状の同期パターンがはっきりと立ち現れ、端の部分で複数のモードが干渉し合い、カオスへと移行していく様子が捉えられました。
いったい、時間の結晶はどうやってこの“悪魔の階段”と共存し、新たな秩序を見いだすのでしょうか?
研究内容の詳細は『Nature Communications』にて発表されました。
目次
- 時間も結晶と悪魔の階段
- 悪魔の階段:秩序とカオスのはざまで
- “わざとカオス”を操る時代――時間結晶が示す新世界
時間も結晶と悪魔の階段

時間という目に見えない軸にも、塩や金属の結晶のように規則正しいリズムが生まれる――そんな奇想天外な発想を提唱したのが、ノーベル賞受賞者でもあるフランク・ウィルチェックでした。