しかし今回のように、双子を妊娠した状態のまま化石化した例はきわめて珍しく、白亜紀からの発見は世界で初めてです。

発見された魚竜化石の個体は「フィオナ(Fiona)」と命名されており、最初に発見されたのは2009年のことでした。

しかし化石全体が完全に発掘されるのは、それから10年後のことです。

フィオナは「ミオブラディプテリギウス・ハウタリ(学名:Myobradypterygius hauthali)」という種で、これまでにアルゼンチンで断片的な化石が見つかっていました。

全長は約3.5メートルで、 最初の発掘時にはすでに胎児の一部が確認されています。

ただ詳細な分析のために行われた新たなCTスキャンの結果、体内には2体の胎児が含まれていたことが明らかになったのです。

魚竜は複数の子供を同時に妊娠していたと考えられるので、双子であること自体が珍しいわけではありません。

魚竜のほぼ完全な全身骨格と、胎児がまだ体内に残された状態で見つかったことが非常に稀少だったのです。

頭から?尾から?胎児の出産の方向も明らかに

CTスキャンによりフィオナの体内が詳細に可視化された結果、1体と思われていた胎児が実は2体であったことが判明しました。

この双子の胎児は母体の肋骨と肋骨の間にそれぞれ位置しており、1体ずつ異なる角度で収まっていたことから、明確に2体と判断されました。

また、注目すべきは出産の方向性です。

初期の魚竜は胎児を頭から出産していたと考えられていましたが、フィオナの胎児の配置から、本種は尾から出産していたことが示唆されています。

これは現代のイルカやクジラと同様の適応で、水中出産時に窒息のリスクを減らす有利な形態とされています。

 

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