ネズミイルカを口加える様子。

ネズミイルカを頭やお腹に乗せて運びながらバランスを取る様子
ネズミイルカを頭やお腹に乗せて運びながらバランスを取る様子 / Credit:Deborah A. Giles et al.,Marine Mammal Science(2023)

ネズミイルカを頭やお腹に乗せて運びながらバランスを取る様子。

ネズミイルカに体当たりをしたり、投げ飛ばす様子が確認されている
ネズミイルカに体当たりをしたり、投げ飛ばす様子が確認されている / Credit:Deborah A. Giles et al.,Marine Mammal Science(2023)

ネズミイルカに体当りしたり、投げ飛ばす様子。

研究者たちは長い間、ミナミシャチがなぜネズミイルカにこのような嫌がらせするのか頭を悩ませてきました。

この疑問に答えるため、ジャイルズ氏ら研究チームは、1962年から2020年までの間に報告された78の事例を詳しく調べたのです。

なぜシャチはネズミイルカに嫌がらせをするのか?

この調査から、シャチの行動には3つの理由が推測されています。

  1. 社会的な遊び:シャチがイルカに対して行う嫌がらせは、彼らの社会的な遊びの一つの形態である可能性があります。知的に高度な動物が他の仲間と関わり合いながら遊ぶことで、絆を深めたり、コミュニケーションをとったりするのと同じように、シャチも遊ぶことで集団内の絆や協力を強化しているのかもしれません。
  2. 狩りの練習:イルカを追いかける行動は、シャチが狩りの技術を磨くための練習として行っている可能性があります。彼らは実際にはイルカを食べるつもりはなくても、動く標的としての練習の一環としてイルカを追っているのかもしれません。
  3. エピメトリック(介護)行動:嫌がらせは、実は病気の仲間などを助ける行動と関連している可能性があります。シャチは病気で弱った仲間などを手助けしながら長距離を泳ぐ様子が確認されており、メスのシャチが亡くなった子供を1600kmに渡って運ぶ様子も目撃されたことがあります。この行動は、ネズミイルカに対して見られる、口にくわえる、乗せてバランスを取りながら運ぶという行動と類似するため、関連している可能性が考えられます。