アメリカ人はAIエージェントを単なる道具として捉え、自分の目的や利益に適わない行動を取れば、辛辣かつ冷酷にAIエージェントを扱う傾向が見られました。

反対に、日本人はAIを単なる道具として見るのではなく、共存する存在として愛着を抱き、尊重する傾向が強かったのです。

この態度の違いはどこから来るのでしょうか?

なぜ日本人はAIロボットにも優しいのか?

こうした背景には、東洋と西洋の考え方の違いが大きく影響していると研究チームは考えています。

例えば、それは両者の「自然観」を比べてみれば一目瞭然です。

西洋の自然観とは、簡単にまとめると、自然は人間にとって支配するべき対象であり、神が創造した自然を人間が管理し、支配する責任があると考えられます。

つまり、西洋人は昔から、自然を客観的な対象として認識し、自然界の法則を人間の知識によって解明して、それを理論的に活用するべきであると捉えてきたのです。

こうした自然観は科学的探求や技術革新の発達を促すため、西洋人は多くの発見や発明をしてきました。

しかし一方で、自然を人間とは完全に区別された対象物と見るため、単なる道具であると考えやすくなるのです。

反対に、東洋の自然観によると、自然は人間の一部であり、自然との調和を保つことが重要だと考えます。

そのため、道教や仏教では「自然との一体感」が強調され、自然は「生きている存在」として尊重されてきました。

また日本の神道でも、自然の中に神々が宿っていると考え、山や川、木々などに対する敬意が払われます。

このため、自然は征服すべき対象ではなく、共存すべきものとして捉えられます。

こうした思想の土台から発生してきたのが「アニミズム(物に魂が宿るという考え方)」であり、東洋人が愛着を抱くのは生きとし生けるものだけではなく、石ころや机、車などの無機物をも含むのです。

要するに、日本人にとってAIロボットは単なる道具ではなく、「共存する存在」として受け入れられやすくなっているのでしょう。

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Credit: canva