3. 政治的・社会的対立の象徴化
- 夫婦別姓は、保守派とリベラル派の価値観の対立の象徴となっています。
- 保守派は夫婦別姓を「家族制度や伝統の解体」とみなし、リベラル派は「個人の権利の拡大」として推進しています。この対立が意見の分断を深めています。
- 一部の宗教団体が「家族の絆を守る」として夫婦別姓に反対するキャンペーンを行っています。これが特定の政治勢力や支持者に影響を与えている可能性があります。
Q. 「伝統的価値観」というが、夫婦同姓は日本の伝統なんでしょうか?
いいえ、夫婦同姓は日本の伝統ではありません。実際には、夫婦同姓が日本で一般化したのは明治時代以降のことであり、それ以前の日本の社会では夫婦別姓が主流でした。「夫婦同姓=日本の伝統」という主張は歴史的事実に基づいていない部分があります。以下に詳しく説明します。
1. 明治以前の日本の婚姻制度
- 江戸時代まで、ほとんどの庶民は姓を持っていませんでした。姓は主に武士や貴族など特権階級のものとされ、庶民にとって姓は制度上必要ありませんでした。
- 婚姻後も女性は生家の家名や姓を保ち、夫婦別姓が一般的でした。特に平安時代や室町時代には「通い婚」という形態が一般的で、夫婦が同居せず、姓を共有する概念もありませんでした。
2. 明治時代の変化と夫婦同姓の制度化
- 明治政府は西洋式の近代国家を目指し、家制度を確立しました。 1898年に制定された明治民法で家制度が導入され、家族全員が戸主(通常は夫)の姓を名乗ることが義務化されました。
- 夫婦同姓を義務化した背景には、兵役や納税の義務化という行政的な理由がありました。夫婦同姓が「伝統」と錯覚されるようになったのは、この明治民法によるものです。
- 明治政府は、近代化と西洋化を目指して法制度や社会制度を大幅に変更しました。その中で、ドイツやフランスの法体系が日本の近代民法のモデルとして採用されました。夫婦同姓制度も、西洋のファミリーネームを取り入れた結果です。