本当ではありません。日本で議論されている選択的夫婦別姓制度では、子どもの姓については夫婦が事前に決めて統一する仕組みが提案されています。以下に詳しく説明します。
- 法制審議会答申:1996年の法制審答申では、夫婦別姓を選んだ場合でも、子どもの姓は夫か妻のどちらかの姓を選択することになっています。子供が複数いる場合でも、全員が同じ姓を名乗るように規定されており、子どもごとに異なる姓を持つことは制度上認められていません。
- 野党案:2004年の野党案(廃案)では子供の姓を親が協議して決めることになっていましたが、いま検討されている野党案は法制審答申と同じく子供の姓を統一する方向です。
親の姓が異なる場合、複数の子供の姓はどちらかの親と異なりますが、これは離婚した場合と同じです。子供の姓が変わるから離婚を禁止しろという人はいないでしょう。
Q. 高市早苗さんは1100本以上の法案を書き換えて旧姓併用を認めたそうですが、これは問題の解決になるんでしょうか?
なりません。高市早苗さんが総務大臣時代に旧姓併用を進めるため、総務省関連の法案を1142本書き換えたのは、旧姓使用を可能にするために多大な労力が必要だったことを示しています。これを全官庁や関連法規に適用しようとすると、さらに大規模な作業が必要となります。
- 法規や規則の膨大さ:日本の官庁には数千本に及ぶ法律、政令、省令、規則が存在し、それぞれの文書において「氏名」に関する規定が明記されています。旧姓併用を認めるためには、それらすべての文書を個別に見直し、必要に応じて改正しなければなりません。
- 旧姓は電子化できない:各種手続きで、旧姓をどのように扱うかを統一的に運用する必要がありますが、パスポートでもクレジットカードでも、ICチップに旧姓は併記できません。戸籍名と違う名前は、国際的に認められないからです。
- 選択的夫婦別姓との比較:旧姓併用をすべての官庁や法規に対応させる作業の手間とコストを考えると、現行の民法と戸籍法を改正し、夫婦がそれぞれの姓を保持できるようにするだけで、多くの法規改正が不要になります。