「武装した保安会社」(PMC)は、資本金1000万人民元、当局の直接経営、あるいは51パーセント以上の国家資本、さらに、保安要員は銃器の取扱に習熟していることが条件となっている。「武装した保安会社」とは「民間軍事会社」のことで、民間の企業が提供する軍事的なサービスのことを指す。これには施設の警備、要人警護、軍事訓練、戦闘支援などが含まれる。
当局は「民間軍事会社」が力をつけて政府がコントロール出来なくなることを恐れており、大規模な「民間軍事会社」の設立を認めていない。中国政府はロシアの「プリゴジンの反乱」のような事態を想定しているようだ。
そして、中国の民間警備会社には質的な不均衡があり、一部の大手企業は高いレベルの訓練や装備を持ち、一定の専門性を持っているものの、小規模な企業や個人が活動している場合、訓練や装備が不十分である。
おわりに
中国政府は2022年6月13日、「軍隊非戦争軍事行動綱要(試行)(戦争ではない時の軍隊の行動綱要)」を発出した。「綱要」は「習近平新時代の中国の特色である社会主義思想の指導を堅持し、習近平の強軍思想を貫徹し、国家全体の安全を堅持する」ことを謳う。
また、「綱要」は、「基本原則や組織指揮、行動類型、行動保障、政治工作などをシステム的に統制し、非戦時の軍事行動の法的根拠となる」とされる。これは治安維持活動のことを指すが、天安門事件のような突発的な事態が生じた場合、再び軍を投入することを正当化したものと解される。
これまでの中国の治安維持費には武装警察や公安、国家安全、検察、法院、司法行政、監獄、強制労働教育、税関警察などの行政事務経費が含まれ、特に習近平に対する警護はアメリカ大統領の警備を超えるレベルに引き上げられ、莫大な警備費が使われている。
ほかにも、ネット監視など国家安全のためのすべての活動費用が含まれるため、範囲が広く、公表された金額よりもはるかに多くの費用が費やされているようだ。