再エネ事業者の責任感のなさを感じていただきたいと思います。もしも大手の電力会社が、コロナやウクライナ侵攻による資材価格高騰や、大手銀行がSDGsに反する事業には融資してくれないから、などを理由に火力発電所の建設を投げ出してしまったり、原子力発電所の再稼動工事をやめてしまったらどうなるでしょうか?
至近年は顕在化しないと思いますが、10年後20年後、現在の火力発電所が老朽化したときに、想像できないほどの電力不足に陥ってしまうことは容易に想像できます。再エネと蓄電池だけでは電力の供給はできないことは、明白だからです。
4. スケジュールを伸ばしてもという訳にはいきません
これらの洋上風力発電の建設工事や保守作業には港湾の整備が不可欠です。何百メートルもの資材を組み立てたり、船に積む時に一時保管をしなければなりません。そのため能代港はすでに85億円もかけて港湾の整備を行い、2025年2月22日に完工しました。この国費が、全部とはいいませんが無駄になってしまう可能性があります。

図2 再エネ海域利用法における案件
資源エネルギー庁資料より
スケジュールが間に合わないのであれば、期限を延ばしてでも三菱商事に責任を持って最後まで対応してもらうべきではないか、という意見もあるかもしれません。
しかし、図2に示す資源エネルギー庁の資料「再エネ海域利用法における案件」によると、秋田県沖には八峰能代沖から由利本荘沖まで計4件の候補地があり、秋田港や能代港は各事業者による激しい競争が生じています。特に⑤の八峰町・能代市沖の案件では、北海道の室蘭港を利用港としているほどです。
本来なら「三菱商事が使わないのであれば、こちらが使わせてもらいたい」というくらいの状況にもかかわらず、三菱商事が秋田港や能代港の使用を引き延ばしているのは、到底受け入れられるものではありません。