しかし、この急成長には落とし穴があった。M&Aを繰り返した結果、グループ企業は急増したものの、買収企業の中には赤字も多く、思うように収益が改善しない事態に陥り、2018年にRIZAPグループは大幅な赤字を発表。市場に衝撃を与え、株価も急落。M&A戦略の見直しを余儀なくされ、不採算事業の整理に乗り出すこととなった。

一方、RIZAP自体の事業は好調を維持していたが、パーソナルトレーニング市場はすでに成熟期に入り、新たな成長戦略が求められていた。そのなかでコロナ禍を逆境として2022年に誕生したのがchocoZAPだ。

chocoZAPの強み①:高い営業利益率

フィットネスジム専業大手の営業利益率は、各社直近決算資料よると、エニタイムフィットネスを運営するFast Fitness Japan(7092)が22.1%、カーブスホールディングス(7085)が15.4%となっている。FC(フランチャイズ)比率は、それぞれ84.6%、96.0%と、FC比率が極めて高い。※FCは、設備投資や固定費の負担が少ないため、一般的に直営よりも営業利益率が高くなる。

一方、chocoZAPは全店舗を直営で運営している加えて、chocoZAPの会員費は月額2,980円(税込3,278円)と一般的なフィットネスジムの半額以下だ。それにもかかわらず、2024年3月期において営業利益率は31%を記録している。

RIZAPグループ「2025年3月期第2四半期財務ファクトシート」より抜粋
※各種詳細はファクトシートを参照

営業利益率の算出は「出店後6カ月以上が経過した店舗の総計」となっているのは要注意だが、フィットネスジム経営の営業利益率を6.7%と試算するサイトもあるなか、chocoZAPの営業利益率は極めて高い。

これは、無人店舗・小規模な店舗設計・大量出店による資材の一括発注などでコストを最小限に抑えつつ、フィットネスに加えて美容サービスを導入することで会員数を拡大。一部店舗ではランドリー・カラオケ・ゴルフなどを設置し、サービスの多様化によって会員の継続率向上を図っているからだ。高額なMRI(脳ドック)・CT・エコー検査も、条件付きで年に一度無料で受けられる。