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2月のドイツ総選挙においてフリードリッヒ・メルツ氏が率いるCDU/CSU(キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟)が勝利(得票率2021年時24.2%→28.5%)を収める一方、現政権を構成するSPD(社会民主党)(25.7%→16.4%)、緑の党(14.7%→11.6%)は大幅な議席減となった。

極右とされるAfD(ドイツのための選択肢)は得票率を倍増させ(10.4%→20.8%)、第二党に躍進した。他方、FDP(自由民主党)、BSW(サラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)は議席獲得に必要な5%ラインを越えることができなかった。

CDU/CSUは第一党になったとはいえ、単独では政権を運営できないため、連立相手を探さねばならない。メルツ氏は「AfDとの連立は絶対にありえない」との「ファイアーウオール」を設定しており、連立の選択肢はSPDとの大連立、もしくはSPD、緑の党との三党連立に限られる。

メルツ氏はSPDとの大連立協議を進めており、現時点で緑の党が次期政権に入る可能性は低い。メルツ氏は「ドイツおよびEUが直面する数多くの国内および国際的な課題に対処するためには、欧州最大の経済大国であるドイツが可能な限り迅速に意思決定のできる政府を樹立する必要がある」と述べ、復活祭(4月)までに連立政権樹立を目指すとしている。

選挙期間中のエネルギー温暖化に関する各党の公約は以下のとおりである

  • CDU/CSU:カーボンプライシングを重視。電力税、送配電料金を引き下げ、原発再開を検討し、次世代炉の研究開発を推進。
  • AfD:気候保護のための政策や税を拒否。パリ協定からの離脱。
  • SPD:地域暖房網の構築(個別にヒートポンプを設置するよりも効率的で費用対効果が高い)。 原発は廃止済みであり、再開検討は不要。放射線物質の最終処分を支持。
  • 緑の党:2030年までに石炭火力を廃止。原発回帰は不可。