だからこそ起訴されなかったのである。いつ頃から始まったかも、知らない者が大半だ。であれば、決して褒められたことではないが、自民他派閥や野党議員の不記載とどこに違いがあるというのか。
だのに、立憲の野田代表はこの参考人聴取を取り上げ、飽きずに「裏金問題」と口にし、還流再開の経緯を巡る派閥幹部との主張が食い違うとして党としての再調査を求めた。総理は「真相解明に向けた国会の努力に、自民党として全面的に協力する責務がある」というのである。(手取りを増やそうとしない石破総理と同様に)参院選での大敗を目指しているとしか思えない。
野党6会派の国対委員長も国会内で会談し、この問題の全容解明のため、令和7年度予算成立後に西村康稔、世耕弘成両衆院議員、落選した下村博文氏、引退した塩谷立氏に対する参考人招致を行うよう与党側に求め、自民が受け入れない場合は予算案採決に応じないことで一致した。
参考人聴取後の関係者への取材で、元会計責任者が特捜部の当時の取り調べに対し、「再開を求めたのは下村氏だ」という趣旨の供述をしていたこと、及び下村氏自身がある議員からの再開要望を元会計責任者に話したことは認めつつ、「命令や指示ではない」と話したことが報じられている。
忘れてはならないのは、「再開」されたのは「還流」であることだ。政治資金収支報告書に記載しさえすれば「還流」自体に問題はない。過去の「不記載」は収支報告書の訂正で既に正されている。この問題、もういい加減にしてはどうか。取り組むべき政治課題は山積している。