ボランタリー、または国が認めている云々にかかわらず、あらゆる炭素クレジットは非倫理的だと筆者は考えます。仮に産廃クレジットやNOxクレジット、水銀クレジット、カドミウムクレジットなどが蔓延したら公害だらけの国土に逆戻りします。炭素だけはクレジットを利用してビジネスを行ってもよいなどと子供の目を見て説明できる企業担当者がいるのでしょうか。

産廃クレジットやNOxクレジットはないのに炭素だけクレジット

産廃クレジットやNOxクレジットはないのに炭素だけクレジット
2023年10月に開設されたカーボン・クレジット市場では取引対象が「J-クレジット」となっています。前回も紹介した海外の杜撰な森林クレジット等と違って、日本のJ-クレジットは政府が行う厳密な制度であり、事業者のカーボンニュートラルや...

しかも、日本政府はJ-クレジット利用者を【もっと(実態以上に)排出削減した“ことにしたい”者】と表現しています。

J-クレジットを利用している企業の皆さんはご認識されているのでしょうか。自社のCO2を削減するため、世界の脱炭素に貢献するため、サステナビリティ推進のため等、よかれと思って取り組んでいるはずですが、国からこんなことを言われているのですよ。筆者が担当者だったら即刻やめます。

2026年以降、EUではカーボンオフセットが含まれる場合「カーボンニュートラル」という主張が禁止されます。グッチやネスレなど一部の企業はすでにクレジット利用によるカーボンオフセットを中止しました。日本企業も炭素クレジット=グリーンウォッシュとの認識を持つべきです。

省エネと再エネだけでは2030年半減が間に合わないのであれば、そもそも脱炭素の時間軸が間違っています。グリーンウォッシュに手を染めなければ達成できない経営計画などすぐに取り下げて、現実的な目標を再設定すべきです。