国連の指摘は、怪しげなクレジットではなく信頼性の高いクレジットを利用するように、ということなのだと思われます。ところが、国際的に信頼性が高いとされるREDD+(レッドプラス)でも過大なクレジット発行が疑われています。

ほとんどのプロジェクトが森林破壊を有意には削減していないことがわかった。残りのプロジェクトについても、削減量は報告されているよりもはるかに少なかった。

とんでもないことに、国連自身のカーボンニュートラルについてもクレジット購入による欺瞞が指摘されています。

国連の排出量を “相殺 “しているとされるプロジェクトの中には、実際に環境を破壊し、あるいは人間の健康を害しているものもある。

(中略)

国連は、2018年以来、ほぼカーボンニュートラルであると主張するために、炭素クレジットを巧みに利用している。国連が実際に排出している二酸化炭素は、「150万台のガソリン車の年間排出量にほぼ等しい」にもかかわらず。

多くの日本企業が参加しているSBTiでは、2024年4月に理事会声明でスコープ3ガイダンスにおいてカーボンオフセットを認めると公表しましたが、即日SBTi内の現場スタッフから理事会声明の撤回とCEOの辞任要求が出るなど迷走した挙句、同7月に炭素クレジットを認めないと結論づけました。

さまざまな種類の炭素クレジットは、意図した緩和結果を実現するのに効果的ではない。

炭素クレジットを他の排出源、吸収源、または排出削減量と同列に扱うことは望ましくなく、非論理的であり、世界的な緩和目標に損害を与える。

SBTi に提出された証拠は、企業がオフセット目的で炭素クレジットを使用することには明らかなリスクがあることを示唆しており、ネットゼロへの転換を妨げる影響が含まれる。

なお、このゴタゴタの最中にSBTi技術委員会を辞任したメンバーが、辞表の中で「炭素クレジットは科学的、社会的、気候の観点から見てでっちあげ」と述べたそうです。