取り止めなく喋り続けるウォルズに司会者のブレナンは「矛盾点を説明する」よう迫った。彼は首尾一貫した返答ができずこう続けて、嘘の上塗りをした。

いいえ、私がこの件について言ったのは、あの夏に中国に行ったと間違った発言をしたということだけです。だから、私はただ、それが私が言ったことです。私は民主化デモの最中に中国の香港にいて、そこに入り込み、そこから統治に何が必要かを多く学びました。

討論はヴァンスの優れたディベートスキルのせいで、一方的な展開となった。オハイオ州スプリングフィールドの件で司会者が介入し、「この町には合法的な身分を持つ移民が多数いる」とヴァンス(とトランプ)の発言に異議を唱えた際も、彼はバイデン・ハリス政権が一部の不法移民に「一時的な保護ステータス」を与えた経緯を説明し、「あなた方は事実確認をしないというルールでしたね」、「だから、何が起こっているのかを言うことが重要だと思います」と切り返した。

司会者はまた移民問題の件で、ヴァンス発言を誤解し、ハリスが個人的に「子供たちを麻薬の運び屋として使っている」と非難したと示唆し、ヴァンスから再度反論された。司会者のブレナンとオドネルは、『ABC』ミューアとデイビスほどではなかったが、ヴァンス発言にのみ事実確認を行い、ヴァンスの反論を招いた。

ヴァンスは、ウォルツと司会者がその事実を無視しようと全力を尽くしたにも拘らずバイデン・ハリス政権に何度も焦点を当て、ハリスが「3年半副大統領を務めてきた」と繰り返した。ウォルズは締め括りに「ハリスは我々に喜びの政治をもたらしている」とし、「バーニー・サンダースやリズ・チェイニーやテイラー・スウィフト」らの幅広い支持者連合を結成したことを称賛した。が、この支持者らが生活に困窮する激戦州の有権者の共感を呼ぶかどうかは不明だ。

スタイルズはウォルツのパフォーマンスに対する各左派メディアの評価も紹介している。『ABC』のジョン・カールはウォルズを「不安定」で「練習不足」とし、『MSNBC』のレイチェル・マドウは「(二人には)余りにも差があって互角とは言い切れない」と述べた。『MSNBC』の寄稿者で元民主党上院議員のクレア・マッカスキルは、「実際、ほとんどの米国人は副大統領が大統領ではないことを根本的に理解していると思う」として、ウォルツの出来の悪さを軽視しようとした。