非武装地帯の設置は、必須である。数千キロにわたる長い国境線を共有しながら、ウクライナ軍とロシア軍が直接的に対峙し続けるような状態は、持続可能性がない。軍事的支配地域の境界線にそって、両側に広がる形で、設置されることになるだろう。ただし、一定の政治的行政的区画に影響される可能性は、ありうる。また最終的な軍事的支配地域の境界線は、現時点では極めて流動的で、米国大統領選挙までの二カ月の間にも、大きく動いていくだろう。

ウクライナにとっては、自国領土のロシア占領地域が、ロシアに併合されたことを恒久的に認める約束をすることは、どうしてもできない。国連総会における決議の内容などにも反する。他方、ロシアが併合を放棄する可能性もない。ウクライナがロシアによる併合統治の実態の承認を避けた状態で、停戦合意を締結できるかは、最大の焦点になるだろう。

停戦合意の可能性は、現実的議題になりうるものとなってきているが、まだ困難も大きい。いずれにせよ今後の軍事情勢の展開によって、その内容は変わっていく。特にアメリカの大統領選挙までの2カ月間に、各方面に大きな負荷がかかっていく情勢になりそうだ。

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