この特徴から、地面からの微弱な電気を察知することで地震を予知し、上記の異常行動を起こすともいわれています。
東京都水産試験場がナマズと地震の関連を研究
では、ナマズは実際に地震に関係しているのでしょうか?東京都水産試験場では、1976~1992年まで地震とナマズの関係を研究していました。
その研究では、伊豆諸島も含む都内全域において、漁業協同組合や養殖業者、支庁村役場や土地の古老、漁業者や教育関係者、郷土館郷土史関係者を対象に聞き取り調査が実施されました。
収集された情報は哺乳類でネズミやイルカ、魚類ではナマズのほかサメやウミヘビ、オイカワやウグイ、深海魚やアジなど、淡水海水を問わず多くのサカナたちが挙がりました。それぞれ季節外れの漁獲や不良、水面を跳ねるなどの行動が報告されたといいます。
特にナマズについては、
1. 早い場合は1か月位前から騒ぎ始めよく獲れる。
2. 4~5日前には通常の棲み場を出て川の真中や岸に群れで現れ、水面に跳ね上がる。
3. 当日は盛んに暴れ、好・不漁双方の事例がある。
4. 季節外れの繁殖が2例ある。
5. 地震直後に海で獲れた事例と、その前後にわたりフラフラになって浮上する事例など、影響は短期間ではないとも考えられる
とまとめられています。
東京都水産試験場は、地震の前に異常行動があったとの報告をうけた動物のなかからナマズを選定し研究を開始。
選定の理由として、資料と聞き取り調査にて異常行動が数多く報告されていること、物理・科学的刺激要素を敏感に受容する側線器官と電気的刺激に敏感であること、飼育観察が容易であることが挙げられています(ナマズと地震予知 江川紳一郎-東海大学海洋研究所 地震予知・火山津波研究部門)。
この研究は約16年続きましたが、「地震の前兆とナマズの異常行動の関連は、はっきり認められない」と結論付け、実験は打ち切られました(ナマズ 地震前に暴れる…「地震の電気に反応」未だ解明されず―読売新聞オンライン)。