解説には
ごみ(廃プラスチック等)」を除くと、植物の光合成を軽油、または人工的に大気中の存在する二酸化炭素から炭素を取り出してSAFを製造します。いずれも製造方法としては確立されていますが、コストが高すぎたり、実証段階のものが多く、現在最も多く使われているのは廃食用油からつくられたSAFです。
とある。
またそのメリットとして、1)CO2排出削減ができる、2)既存インフラが使える、3)国産原料でつくれる、が挙げられ、デメリットとして製造コストが高いことが挙げられている。
製造コストとして、従来燃料が100円/Lに対しSAFは200〜1600円/Lとの値が示されている。ただし発熱量が示されていないので、正確には同じ熱量当りの価格を比較すべきである。
JETRO(日本貿易振興機構)の地域・分析レポートによると、2024年の航空界の総燃料費は2910億ドル、運用コスト全体の31%を占めるそうだ。つまり燃料価格は彼らにとって重要問題である。それでも高いSAFを使い続ける理由は、もちろん「脱炭素」しかない。むしろ「脱炭素」で強制されていると言っても良い。これがなければ、どこの航空会社もSAFなど使うはずがない。
一方、SAFは2023年に6億L(=60万kL)生産され、2024年にはその約3倍の18億7000万L(=187万kL)に達し、航空燃料需要の0.53%になる見込みと発表されている。国交省の2030年目標値は、世界全体では今年中に達成されそうだ。しかし、価格は高止まりしているようだ。
この高いSAFに頼るのは、航空業界特有の事情もある。航空業界は現在、世界全体のCO2排出量の約2.5%を占めているが、これを減らそうとしても、航空機の電動化はバッテリー重量の制約で事実上困難であり、水素を航空利用するには、空港などでの供給インフラに大きな変更が必要である。それで上記の2)既存インフラが使える、と言うのは大きなメリットなのだ。