ー昨シーズンは左サイドバック水谷選手と、左サイドハーフ伊藤選手の立ち位置の連係がとても良かったと思います。今日は後藤選手が伊藤選手の後ろでプレーしましたが、連係はいかがでしたか。
「若葉もビルドアップできますし、ふたりでワンツーパスをしたりとか、コンビネーションの部分はうまくできていると思います。守備の部分でも、彼女は対人の強さや足の速さをストロングポイントとして持っているので、声をかけながら(守備を)できたかなと思います」
ー昨シーズン、ビルドアップ(GKや最終ラインからのパス回し)のときに伊藤選手と左サイドバック水谷選手が同じレーン(縦列)で重ならないようにしていると仰っていましたね。それは今シーズンも変わらずでしょうか。
「そうですね。(サイドバックに)誰が入ってもそれは変わらずですし、若葉も積極的に(相手最終ラインの)背後を狙っていました。運動量もあるので、彼女の良さを活かしながら攻撃できたら良いですね」
昨季浦和の左サイドからの攻撃を彩ったのは、他ならぬ水谷と伊藤。この2人の持ち味は快足や鋭いドリブルではなく、的確な立ち位置に基づく細かいパスワークだ。
伊藤がタッチライン際に立ったら、水谷がその内側へポジションを移す。水谷がタッチライン際に立ったら、伊藤が内側へというように、サイドバックとサイドハーフが縦一列で並ばないよう常に工夫が施されている。これにより相手サイドハーフやサイドバックがパスコースを予測しにくく、守備の的を絞りづらくなっていた。
また、伊藤は相手サイドハーフやボランチの背後(死角)から突如現れ、味方のパスを受けるスキルが高い。それゆえ密集地帯でも簡単にボールを失わない。WEリーグ屈指の快足MF遠藤優と、同じく俊足のFW清家貴子(現ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン女子)が同居する右サイドは昨季の浦和の強力な武器であり、これを封じるべく多くの対戦相手が最終ラインや中盤ラインを下げたが、水谷と伊藤から繰り出される遅攻で守備ブロックに穴をあけられてしまっている。対戦相手としては厄介だった。